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兵庫勤労福祉センターがシンポジウム

 『生活満足感が向上する環境要員の改善方向とは?』

財団法人:兵庫勤労福祉センターがシンポジウム開く

◆3月17日(土)、兵庫勤労福祉センター(理事長:森本洋平)が2011年度の研究事業報告を兼 20120317zaidansinpo0001.jpg ね、シンポジウムを開きました。連合兵庫構成組織・地域協議会をはじめ、兵庫県や日ごろ交流のある議員の方々をあわせ、約200名の参加者をあつめ、たいへん盛況理に開催しました。

◆シンポジウムの中心テーマは、労働者の 『生活満足感が向上する環境要因の改善方向とは?』 というものでしたが、兵庫県の委託を受けてセンターが1年間かけて調査してきた労働者のライフスタイル・必要生計費調査の結果を基礎にして、学識経験者が専門の立場から評価・提言し、意見交換をおこなうというものでした。

◆兵庫勤労福祉センターの研究部門である兵庫県総合生活研究センターの神田:主任研究員が進行係をつとめ、冒頭、森本洋平:理事長(連合兵庫会長)が主催者あいさつを述べました。

主催者あいさつ(要旨)

財団法人兵庫勤労福祉センター

理事長  森  本  洋  平   

◆昨年のシンポジウムは3月12日に開きましたが、それはあの東日本大 20120317zaidansinpo00012.jpg 震災の翌日でした。大災害の直後でしたから開催すべきかどうか迷いましたが、まだ被害状況も定かでなく、また中止の手続きの時間的余裕もないため、予定通り開催しましたが、たいへん心騒ぐ状況下での開催でした。
  あれからちょうど1年が経過しましたが、いまだに行方不明者の捜索がつづいているような状況で、また被災地の復旧・復興も遅々として進んでおりません。わたしたとしては今後も息長い支援を続けていきたいと思っておりますが、本日は震災犠牲者の慰霊の意味で皆さん方とともに黙祷をささげたいと思います。

<黙祷>

20120317zaidansinpo0002.jpg ◆今年の財団のシンポジウムは、生活の豊かさ、満足度に焦点をあてています。このテーマは最も身近であるけれど、中々掴みにくい問題です。

◆給与所得の多さとか、可処分所得の多さ、生活レベルでもない。強いて言うならば、生活満足度だが、いざそれは何ですかとなると、これまたたいへん難しいところがあります。

◆最近は、首長選挙などの政策で、短絡的に公務員の給与削減がうたわれることがありますが、これについても日本の労働者の平均給与より高いから削減しろというだけでは理屈になっておらず、では公務員の適正な給与額はいくらかとなると、明確な返答はかえってこない。

◆わたしは逆に、上を下げるより、下を上げる政策を出してほしいと思います。憲法でも、国民は 「最低限の文化的な生活を営む権利がある」 と書いています。

◆この条文が、最低賃金や生活保護費の根拠であるわけですが、では、その額はいくらなのか、適正な生活保護費とはいくらなのか?

文化的生活と生活満足度の違いは何か、ゆとり豊かさとは何か。今回のテーマについては、数年かけて掘り下げてみようと思います。藤島先生、滋野先生、居神先生、川田先生、には大変お世話になります。

◆連合本部もリビングウエッジを出しているが、兵庫は兵庫なりに検証して下さい。兵庫県は、都市と田舎が同居している、その比較も大切です。

◆連合運動の柱、ディ―セントワーク~ディーセントライフへつづく道を拓いてください。本日のシンポジウムが、各組合の運動の参考に、また組合員の何か生活のヒントになれば幸いです。宜しくお願いします。

 

20120317zaidansinpo0003.jpg 【基調報告】

◆『生活の豊かさ実現のために ~ 必要生計費算出に関する基礎調査について』

          NPO法人ワーク・ライフ・コンサルタント代表
                              藤  島  一  篤   氏

 

20120317zaidansinpo0004.jpg 【基調講演】

◆『生活満足感を高めるライフスタイルとは?』

          神戸国際大学経済学部教授 (必要生計費算出検討委員会座長)
                              滋  野  英  憲  氏


 

 

【パネルディスカッション】

◆コーディネーター

          神戸国際大学経済学部教授  滋  野  英  憲  氏

◆パネラー 20120317zaidansinpo0006.jpg

          神戸国際大学経済学部教授  居  神      浩  氏

          大分大学教育福祉科学部専任講師  川  田  菜穂子  氏

          ワーク・ライフ・コンサルタント代表  藤  島  一  篤  氏

20120317zaidansinpo00010.jpg 20120317zaidansinpo0008.jpg 20120317zaidansinpo0009.jpg 20120317zaidansinpo0007.jpg

 ◆コーディネーター
      滋野英憲  氏

◆パネラー
       居神   浩  氏

 ◆パネラー
     川田菜穂子  氏
◆パネラー
     藤島一篤  氏 

【労働運動の立場から】

◆シンポジウムを閉じるにあたり、報告・講演・パネルディスカッションの内容を踏まえ、労働運動の立場から、また1年間研究事業をすすめてきた立場から、財団理事であり連合兵庫の事務局長代理である土肥氏から所感が述べられました。

 財団法人兵庫勤労福祉センター理事
連合兵庫事務局長代理
土  肥    淳  二

(要旨) 

  本日のシンポジウムに参加し、感想を少しのべさせていただきます。

◆先ほども述べられましたが、私たちは今回の調査をするにあたって兵庫 20120317zaidansinpo00011.jpg 県内における最低生計費についてできないか、という事から出発しました。

◆検討委員会の中で、最低という考え方ではなく、必要という考え方が重要だと出され、それは「人間、最低の居住空間と食事が取れれば生きていけるという事ではない、そこに夢という味付けがあって初めて社会との関係を感じ取りながら生きていける」と本日、コーディネーターを担当いただきました滋野先生が提案され、そうだということになりました。

◆たしかにそうです。そして、残念ながら県内の経営団体も、行政も、そして私たち労働組合もその資料を持ち合わせていないのです。今回、そういう意味では、貴重な資料を得たと思っています。

◆先ほどの「必要生計費」ということを同じ意味を逆に言えば、ワ-キングプア問題に行きつくように思います。

◆バブル崩壊以降、グローバリゼーションへの対応が求められ「規制緩和」「小さな政府」へと大きく舵をきりました。それは、小泉政権下で一気に加速し、結果として格差・貧困の問題が社会問題となったと言えます。 

◆労働現場では、正規雇用の削減と非正規雇用の拡大、事務・事業のアウトソーシングの拡大が一斉におき、その中で「ワーキングプア」問題が指摘されることになりました。「長時間働いても、人間らしい生活ができる賃金が得られない」、働く貧困層ということです。

◆今回、賃金だけではなく住宅の問題も含めて、いろんな角度から提案をいただいたところですが、これらの提案をしっかりと受け止めながら、連合兵庫として、今後の取り組みについていくつかの提案し、発言を終えたいと思います。

◆ひとつは、この調査研究が、男女共同参画から始まり、県内の非正規の問題に、そして、海外、フランスですがその調査を行いながら、国内との比較が行われ、今回の必要生計費調査とつながっている点です。
  この一連の取り組みの根幹というのは、格差社会といわれる構造的な問題に対して、私たちの兵庫県内の分析をすすめ、その結果を多様に活用し、その解消をはかることを目的としているという事です。
  この必要生計費について、もう少し継続的に県内の調査を行い、掘り下げていくこととなると思いますが、連合兵庫としても出来る限りの協力体制を取りたいと思っていますし、本日のパネラーの皆さんも含めて、引き続きご協力をいただければと思います。

◆二つ目に、今、公共サービスの問題や公契約の問題が言われています。
  ワーキングプアの問題について言いましたが、自治体そのものがワーキングプアを作ってはいけない、それは、公共サービスのあり方という時の根本にかかわる事だからです。
  今回の調査が継続されるという事を前提に、すでにいくつかの自治体で公契約条例が制定されていますが、兵庫における公契約条例のあり方について調査や研修会等を今後実施できればと思っています。

◆最後になりますが、今回の調査結果の活用についてです。
  連合は、今春季生活闘争において、賃金カーブ維持+是正をかかげているわけですが、賃金カーブと言ったときに、どのようなカーブを描くのか。収入と支出のバランスが崩れる年齢層や総体的な地域的格差の問題が今回の調査で浮き彫りになっていることを受けて、もう一度職場内で議論していく材料としていきたいと思っています。
  同時に、社会保障と税の問題が言われていますが、所得再配分といったときの賃金以外の支えがどうなっているのかということをもう一度考えていく事が必要です。
  生活満足度という観点から調査を是非進めていただくと同時に、参加のみなさんの活用と検討をお願いします。

◆私は労働組合の人間ですから、その立場から言えば、いま一歩引くことがあとに及ぼす影響の大きさを考えます。その立場から、この調査研究事業にもっと関わっていきたいということを申し上げ一言とします。