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男女共同参画研修会を開催
改正育児・介護休業法を職場に活かそう!
~仕事と家族の介護の両立について~
女性委員会が男女共同参画研修会を開催
◆連合兵庫女性委員会は、6月5日(土)午後、兵庫県立男女共同参画センター“イーブン”のセミナー室に、女性委員会役員を含む男女の組合員63名をあつ
めて『男女共同参画研修会』を開催しました。
◆この研修会は、女性委員会の年間活動方針にもとづき、6月の「男女平等月間」にあわせて、男女がともに働き続けることのできる職場づくりをめざし、さまざまな課題を取り上げて企画しているものです。
◆今回は、この6月に施行される「改正育児・介護休業法」をテーマに、昨年度の男性の育児休業取得促進に続けて、「仕事と家族の介護の両立」に焦点をあて、働く者の誰の身にも起こりうる「介護」の問題について、専門家のお話をお聞きし、改正法をそれぞれの職場に活かしていくことを目的としました。
◆研修 会
は2部形式で、第1部の基調講演では、NPO法人パオッコ(離れて暮らす親のケアを考える会)理事長の太田差惠子さんより、豊富な取材経験の中からさまざまな介護の実態や、いざ自分が介護する立場になった場合に何が一番大切なのかについてお話をお聞きし、つづく第2部では、参加者それぞれがグループに分かれて、「仕事と介護」について職場や組合および地域などの現状や課題、求められている制度や施策について話し合い、活発な意見交換をおこないました。※なお、今回の研修会は、兵庫県のすすめる「女性チャレンジセミナー」事業と協働で開催しました。兵庫県および関係者の皆様にこの場をかりて御礼申し上げます。
◆研修会は、上田幹事(情報労連:NTT労組)の司会・進行ですすめられ、主催者を代表して、女性委員会の永井委員長(UIゼンセン)があいさつに立ちました。
主催者あいさつ 連合兵庫女性委員会委員長 永井 幸 子
◆本日の研修会にこのように多くの方々に参加していただき、うれしく思っています。
◆さて、「男女共同参画推進」という言葉がいわれて久しく、たしかに大きな前進を遂げているとは思いますが、ここのところ停滞気味ではないかと感じます。
◆本日の研修会のテーマは「仕事と介護」ということですが、私自身も両親を東京に残して単身赴任をしている身であり、不安がないとはいえません。 |
◆次に、連合兵庫の副会長で男女共同参画推進委員会の篠原委員長(フード連合:伊藤ハム労組)よりあいさつがありました。
連合兵庫あいさつ 連合兵庫男女共同参画推進委員会委員長 篠原 智 彦 ◆今期より連合兵庫男女共同参画推進委員会の委員長に就任し、本研修会には出身のフード連合の仲間とともに参加しています。
◆私自身、組合の委員長として会社の入社式などで新入社員に向けてあいさつをしたり、大学へ出向き学生たちの話を聞いたりする機会があるのですが、私の印象として、仕事に対する考え方は、女性の方がしっかりしているように思います。
◆男女がともに対等な立場で仕事などを通じて社会に貢献できるようにするために、政策や制度の中身を充実させ、運営の仕方にも工夫をしていかなければならないでしょう。 ◆政策・制度を変えていくことは一人ではできませんが、労働組合の仲間同士で協力し合いより良い職場環境をつくるために力をあわせていきましょう。 |
◆つづいて、今回の研修会が兵庫県との共催であることから、兵庫県立男女共同参画センター“イーブン”の横山所長よりあいさつをいただきました。
来賓あいさつ 兵庫県立男女共同参画センター所長 横山 佐 和子 ◆私ども兵庫県は、平成14年に「兵庫県男女共同参画社会づくり条例」を施行し、男女はともに仕事や生活がしやすい社会をめざしてさまざまな取り組みをしております。 ◆この男女共同参画センターも、以前は主に女性の地位向上や権利を守るために「女性センター」として活動していましたが、現在は県下で唯一このセンターで男性を対象とした相談を実施するなど、女性だけでなく男性の問題にも目を向けた取り組みをすすめています。
◆このような状況の中で、男女共同参画政策を推進するためには、行政だけではなく関係団体との連携が不可欠であり、本日の研修会を連合兵庫女性委員会の皆さんと共催できたことはとても嬉しく思います。 |
◆次に、女性委員会の西嶋事務局長(兵教組)が、本研修会の趣旨と進め方、および今回のテーマである「改正育児・介護休業法」について、主に介護休業制度関係の改正内容を中心に説明をおこないました。
◆ 家族の介護のためにベテランの職員が退職し、後任者が前任者と同じ仕事をこなせるようになるまで、6年の年月がかかるといわれています。 ◆介護休業法が改正されたからといって、自動的に労働者に適応されるわけではなく、それぞれの職場の就業規則を改正し、できれば法を上回る制度を労使でつくっていくことが重要となります。
改正育児・介護休業法について ◆現行:介護休業制度 労働者は、申し出ることにより、要介護状態にある家族1人につき、常時介護を必要とする状態ごとに1回、通算してのべ93日(三か月)まで介護休業を取得することができる。 ◆改正:介護休暇制度の新設 労働者は、申し出ることにより、要介護状態にある家族1人であれば1年間に5日、2人以上であれば1年間に10日、休暇を取得することができる。 ◆現行:介護のための所定労働時間の短縮等の措置 事業主は、働きながら要介護状態にある家族を介護することをしやすくするため、要介護状態にある家族の介護をおこなう労働者について、所定労働時間の短縮などの措置を講じなければならない。 ◆現行:時間外労働の制限の制度 事業主は、要介護状態にある家族を介護する労働者が請求した場合には、1カ月につき24時間、1年につき150時間を超える時間外労働をさせてはならない。 ◆現行:深夜業の制限の制度 事業主は、要介護状態にある家族を介護する労働者が請求した場合には、深夜(午後10時から午前5時まで)に労働させてはならない。 ◆改正:不利益取り扱いの禁止 事業主は、介護休業、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置などを申し出、あるいは取得したことを理由に解雇ほか不利益な取り扱いをしてはならない。 ◆現行:転勤について 事業主は、労働者を転勤させようとするときには、介護をおこなうことが困難となる労働者について、その介護の状況に配慮しなければならない。 |
◆つづいて基調講演にうつり、仕事と家族の介護の両立について、NPO法人パオッコ:離れて暮らす親のケアを考える会理事長の太田差惠子さんに、仕事を続けながら介護をすることになった場合、私たちがどう行動すればいいのかについてお話をいただきました。実際に家族の介護を体験した人たちの体験談を交えた太田さんのお話に、参加者たちは熱心に聞き入っていました。
基調講演 『もしあなたが働きながら家族を介護することになったら? 改正育児・介護休業法を職場に活かそう 』
講師:NPO法人パオッコ 離れて暮らす親のケアを考える会 (講演内容要旨) ◆家族(特に親)を介護することは、絶対に一人ではできない。介護保険制度などを利用しながら自分以外の家族、親戚、ご近所の方々、ケアマネージャー、医師などをまじえて、介護をしていくうえで必要なことをしてもらえる協力者をさがすことが重要。
◆そのうえで、なるべく広く情報を収集し、どのような公的・民的サービスが受けられるのかを確認すること。 ◆介護はいつ始まるかいつ終わるのか見通しがつかない。介護が終わったあとも介護する側の人生は続くので、介護のために仕事を辞めてしまう前に、職場の介護休業制度の内容をよく確認し、だれもが使いやすい制度にしていかなければならない。そのためにも、現場の意見を吸い上げていくことのできる労働組合の役割は大きく、働きながら育児がしやすくなってきたように、介護についても社会の意識を変えていくことが必須といえる。 |
◆講演のあと10分間の休憩をとり、第2部のグループ討議にうつりました。
参加者た
ちは7名ずつ9つのグループに分かれ、各自自己紹介のあと、基調講演の感想や介護に抱くイメージ、それぞれの職場での介護休業制度について、さらに仕事と介護を両立するためには何が必要かなどについて話し合いました。
◆約1時間ほどのグループ討議を終えたのち、いくつかのグループから講師への質問や意見発表などがあり、育児休業制度の充実が進む一方で、仕事と介護についての職場体制を整える重要性がうきぼりとなりました。
(グループ討議発表の中から)
・同居していない親を介護することになり、職場の制度を使ってもなかなか手が行き届かない場合、どの ような方法で介護をすすめればよいのか。
・親の介護をしていく中で、兄弟(姉妹)がもめてしまうことがあった。
・介護される方の親はなかなか子どもの言うことを聞いてくれないが、信頼できる第3者の見には耳をかたむける傾向があるので、そういう人がいてくれると助かる。
・シングルの人に負担がかかってくるのではないかという不 安がある。
・定年にはまだ時間がある方が、認知症の親を放っておけずやむなく退職していった。
・介護される側が、恰好悪いからと施設に入るのをいやがるので、介護する側の負担が大きくなっている。これは日本固有のことなのかと思う。外国の介護事情を聞いてみたい。
・介護にかかわる職場での制度については、知らない人が大半だと思う。自分が親の介護をすることになった時にいろいろ調べてみたが、休みは取れるが無給となるため、なかなか休む決心がつかなかった。
◆最後に、西嶋事務局長(兵教組)が研修会のまとめと閉会あいさつをおこない、すべての日程を終えました。
研修会まとめ・閉会あいさつ 連合兵庫女性委員会事務局長 西嶋 保子
◆私たちがあらためて「介護」という問題について考えてみたとき、
ただ漠然と、たいへんなことになった、仕事を辞めなければならないかもと思いながら、介護することについて知らないことが多いなと思われたのでないでしょうか。
◆今日の研修会では、このほど改正される「育児・介護休業法」の内容をふまえ、介護のために仕事をやめないで続けていくにはどうしたらいいのかについて皆さんに話し合っていただきました。
◆さきほどのグループ討議の中では、介護のための休暇に有給休暇を使っている方も多いということでした。 |