森本洋平会長ブログ.com
10/02/12(金) プロの勘
◆私は製造現場出身で、機械加工職として一応ベテラン職人といわれていました。
15歳で会社に入り、3年間の教育期間を経て職場に出て、最初はボール盤を使っての穴あけ作業から入り、続いてフライス盤で平面切削を覚え、24歳で当時最新鋭のボーリングマシーン(横中刳り盤)を使わせていただきました。
◆現場で触ってなかったのは旋盤ぐらいで、37歳で労組専従になる前まで精密大型機械で作業しておりました。鉄を削ると高熱が発生し時には600度から800度に達し、鉄の削りくずが紫色に変色することもあります。
◆そうすると、鉄はその熱で変形していくのです、それを読みながら如何にして平面を仕上げてゆくか、私の場合はステンレスを専門に加工していたので、より大きく歪むことになります。最終仕上げ加工では非常に神経を使います。
◆直径30センチあまりの工具で、大きいときは3メートルの幅の平面を仕上げることもよくあります。同じ位置で工具を平行移動しても時には100分の1ミリ単位の僅かな段差が発生するものです、この段差を修正しながら平面を加工していくことになります、プロの経験と感覚が要求されます。
◆今、話題になっているハイブリッド車のリコール問題の社長の会見を聞いていますと、ブレーキを踏んでから利きだすまでのタイミングが微妙にずれるとの発言をされていました。具体的には電子制御では100分の6秒程度と言われていますが、この感覚はひょっとするとタクシーや運転業務などのプロのドライバーの方々は早くから感じていたのではないかと思われて仕方ありません。
◆もう少し早い段階で対処していればと悔やまれます。日本の物づくりの原点である自動車や電機産業が、その精巧な製品ゆえに国際的にも注目を集め、世界一ゆえに何かが起こることの反作用みたいなものが出ることも当然でしょう。
◆今回のことを他人事にせず襟を正して、日本の物づくりをしっかりと守っていきたいものです。前回も書きました「外に信用、内に信頼」これが欠如すると齟齬を生じかねません、風通しのよい組織でありたいものです。
◆今日の言葉 「芋の煮えたも御存知ない(いものにえたもごぞんじない)」
世間知らず、常識ではかれない人のこと。そういった人をからかった言葉。
芋が煮えたか煮えてないのか判断できないことからきているが、私なんかは煮えすぎるまで待っているタイプ、焼肉はウェルダンでないと食べれません。
政治家の方々の中にはこのような方はおられないと思いますがどうでしょうか。
(森本洋平)