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官民連携「子育て支援推進フォーラム兵庫県大会

仕事と子育ての両立しやすい職場環境づくりを応援します!

官民連携子育て支援推進フォーラム
全国リレーシンポジウム<兵庫県大会>を開催

◆内閣府と兵庫県が主催、連合兵庫ほか諸団体が後援の『子育て支 091202kosodatesinpo0004.jpg 援推進フォーラム全国シンポジウム』が、12月2日(水)に神戸市のラッセホールで開催され、労働組合  をはじめ、行政や企業などからあわせて200名をこえる関係者が参加しました。

◆シンポジウムでは、世界に類をみない速度ですすむ日本の少子高齢化に歯止めをかけるためには、地域の子育て支援施策の充実とともに、官民一体となった『ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)』施策の推進が不可欠だという結論に達し、政・労・使がそれぞれ連携しながら安心して仕事と子育てができる環境づくりをすすめていくことを確認しました。

 

◆シンポ 091202kosodatesinpo0003.jpg ジウムは、「全体セッション」と「ビジネスセッション」の2部構成ですすめられ、全体セッションのはじめに主催者を代表して、内閣府大臣官房審議官の岡田氏があいさつに立ち、
『少子高齢化がすすむ中で、仕事と子育ての両立支援対策について、政府としても、多様な働き方の推進や、保育サービスの基盤整備など政策・制度の充実に努力している。来年の1月末には、「少子化社会対策基本法」の見直しも予定されており、若年層の雇用対策もふくめ、さまざまな視点から社会全体で取り組むべき課題だと考えている。この問題について先進的な取り組みをされている兵庫県のお話を大いに参考にしていきたい。』と述べました。   091202kosodatesinpo0005.jpg

◆つづいて開催県を代表して、兵庫県の吉本副知事があいさつに立ち、 
『兵庫県では、平成17年に、「ひょうご子ども未来プラン」を策定し、子育て支援政策を推進してきた。さらに、平成18年の3月には、政・労・使で「仕事と生活の調和と子育て支援に関する三者合意」を締結し、行政と労使が一体となって取り組みをすすめている。本年6月には、企業や労働組合等でのワーク・ライフ・バランス施策を充実させるために、「ひょうご仕事と生活センター」をオープンし、相談業務や講師派遣などを通じて、誰もが働きながら安心して子どもを育てることのできる社会の実現をめざしている。』と述べました。

091202kosodatesinpo0008.jpg ◆つぎに、内閣府における少子化対策について、内閣府大臣官房審議官の岡田氏が基調報告をおこない、平成18年度から実施されている「官民一体子育て支援推進運動事業」の概要や、日本や諸外国の出生率の推移などの各種データを紹介しながら、政府が提案する「安心こども基金」による保育サービス等の拡充政策、平成22年度から導入予定の「子ども手当」などの施策実施にむけた「子ども・子育てビジョン(仮称)検討ワーキングチーム」設置について、政府の方針を説明しました。

◆つづいて、アパショナータInc.ワーク/ライフ・コンサルタントのパク・ジョアン・スックチャさんによる基調講演にうつりました。

 基調講演

~諸外国の少子化事情から日本の「働き方」を考える~

アパショナータInc.ワーク/ライフ・コンサルタント
091202kosodatesinpo0011.jpg パク・ジョアン・スックチャ

[講演内容抜粋]

◆日本の子育て支援は、諸外国に比べて手厚いといえるが、私自身が海外生活をつうじて肌で感じた各国の「子育て事情」からすると、政府の施策が整っているからといって必ずしもその国の出生率が高いとはいえず、仕事だけではなく、家族(家庭生活)を大切にするという絶対的な価値観が国民一人ひとりに根づいているかどうかに大きな違いがある。

◆北欧やヨーロッパ諸国など、子育て支援や仕事と家庭の両立支援が充実している国では、高い消費税率など国民の負担が大きく、夫婦が共働きしなければ一定の水準の生活を維持できないという現実もある。

◆高い出生率を保っている国には共通点があり、「仕事」と「家庭」双方の場面で男女平等であることや、何らかの事情で失職しても敗者復活が可能である労働市場、フレックスタイムや在宅勤務など柔軟な勤務形態が選択可能な労働環境であることが挙げられる。

◆世界に類を見ない速度で少子高齢化がすすむ日本の厳しい状況を、少しでも穏やかな速度に落とすには、慢性化している長時間労働の見直しや、男性は仕事、女性は家事・育児といった伝統的な男女の役割分担意識をあらためることが必要である。
  特に、男性の家事・地域のボランティア活動等への参画をうながすための施策をすすめることが一番のカギと言える。女性の家事負担をなくしていかない限り、出生率は伸びないだろう。

◆つぎに、日本の少子高齢化をくい止めるためには、政府や行政だけでなく企業や労働組合との連携が重要であるとの認識をふまえ、政・労・使でパネルディスカッションをおこない、活発な意見交換を繰り広げました。

 パネルディスカッション

働き方の改革
~子育て支援と企業の生産性維持・向上のために~

■パネリスト
      森本 洋平(連合兵庫会長)
      寺崎 正俊(兵庫県経営者協会会長)
      清原 桂子(兵庫県理事)
      北尾 真理子(ひょうご仕事と生活センター主任相談員)

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 森本会長

 寺崎会長

 清原理事

 北尾相談員

■コーディネーター
      パク・ジョアン・スックチャさん
       (アパショナータInc. ワーク/ライフ・コンサルタント)
 

 

[それぞれの立場から] 091202kosodatesinpo0012.jpg

1.少子化対策、働き方改革について 

(兵庫県)

 兵庫県庁内に「少子対策本部」を設置し、さまざまな取り組みをつうじて、兵庫県の出生率を上げてきた実績がある。
 なかでも、政・労・使が核となり1999年に「雇用対策三者会議」が発足したのに続いて、2006年には「仕事と生活の調和と子育て支援に関する三者合意」、そして2009年の6月には三者が連携した「仕事と生活センター」を設立し、官民が協働で子育ての応援や仕事と生活のバランス推進事業に取り組んでいる。

(労働組合)

 会社への帰属意識は大切だが、家庭や家族を犠牲にしてまで働くという時代ではない。
 新しい定義としての「多様な働き方」が、本来の趣旨に合致しているのか若干問題があるのでは。企業側の都合によるコスト削減ありきの多様な働かせ方になってはいけない。
 長時間労働を見直し、メリハリをつけた仕事の業務の平準化や職場の雰囲気づくりなど、意識改革が必要である。
 職場の助け合いを重視し、普段から意思疎通をはかっておくことが大切だ。

(使用者)

 私自身が、仕事一筋の人生を歩んできた点からも身につまされる問題だ。
 これからは、女性の活躍の場を増やすことや、女性が働きやすい職場環境をつくっていくことが働き方の改革につながっていくと考える。

2.従業員の子育て・介護等に対する支援について

(兵庫県)

 兵庫県内は870の保育所があり、企業内保育所は77、院内保育所を113ヶ所設置しており、設置にともない補助金を出している。
家族への支援としては、「家族の日」を設けて県民への浸透をはかっている。さらには「ひょうごおやじネットワーク」を立ち上げ、男性の家庭参画を後押ししている。
 また、働く女性の支援だけでなく、男女の働き方や子育て支援をすすめていくために、企業・労働組合・地域の皆さんによる男女共同参画推進員の活動のほか、兵庫県庁内部でも独自のアクションプランにもとづき、男性職員の育休取得促進にも取り組んでいる。

(労働組合)

 現在では、法律も社員制度ともにある程度は整備されていると思うが、それだけでは十分でなく、いかに制度を活用していくかを考えるのが労使の役割である。
 男女の役割分担意識は薄れてきているというが、育児休業取得者数は依然として圧倒的に女性が多い。男性が安心して休業できるようにするためには、普段から職場のコミュニケーションをとり、助け合える雰囲気づくりが何よりも大切だと思う。
 また、企業内保育所の設置や、官民が連携し共同参画による保育所設置の義務付けなどが今後の課題ではないか。

(使用者)

 これまでは、働きやすい職場環境を整えることよりも、生産性を重視するあまり、コスト意識が強すぎたように思う。
 従業員が子育てや介護などしながら働き続けられるような政策をすすめていくために、トップ・ダウンでメッセージを伝えることが重要だ。

3.ワーク・ライフ・バランス推進における地域での取り組み

(仕事と生活センター)

 2009年6月に、政・労・使の三者共同で「仕事と生活センター」を立ち上げ、仕事と生活の両立支援や子育て支援などの政策・制度についての情報発信や、企業や労働組合の方々に各種制度や仕組みを整えるお手伝いをしていきたい。
  「ワーク・ライフ・バランス」というと、仕事が50%、生活が50%と思われがちだが、自分自身の生き方やライフスタイルを大切にした働き方の提案ということ。
 このような点もふくめてセミナーなどを開催し意識づけをしていきたい。

(労働組合)

 この問題は、政・労・使だけでなく、地域の自治会なども含めたトータルな視点が必要になってくると思う。
 仕事で家にいないことの多い父親のことを、「お父さんは透明人間」などと子どもたちに呼ばせないためにも、「家族の日」を地域に発信し定着させるような取り組みや工夫が必要だ。
 両親の職場見学、家族へ仕事の内容紹介をする機会をつくることも有効ではないか。

(使用者)

 「ワーク・ライフ・バランス」は、言葉とともに考え方に関しても浸透してきていると思う。まずは、行政が率先したかたちで、政策の充実をすすめてもらいたい。
 その意味でも、「仕事と生活センター」の活躍におおいに期待を寄せている。

(兵庫県)

 兵庫県は、県内企業と「子育て応援協定」や「男女共同参画社会づくり協定」の締結をつうじ、各種助成制度をすすめている。また、国に対しても、必要な法律の改正や整備をもとめていきたい。
 昨今、子育ての悩みが増えていることから、子どもたちに対する社会の許容度を高めていくことにも努力していく。

4.社会全体の意識改革・行政改革を促すためのメッセージ

(使用者)

 先日ある研修会で、大手企業に働く育児休業を取得した男性の体験談を聞き、私自身も考えさせられ、認識をあらたにしたところだ。
 これからの企業運営の中では、従業員の育児・介護の問題をいかに考えていくかが求められている。

(労働組合

 仕事や家庭生活について私たちが長年親しんできた考え方をすぐに変えることは困難だが、男女や働き方の「格差」をなくしていくことが、まず第一歩だ。
 それらには「男女共同参画社会づくり」が前提にあり、共に生きる、共に分かち合う「共生」していく社会をめざして、人間の尊厳・労働の尊厳を大切にしていかなければならない。
 まずは、労働組合や企業の役職者から意識改革を実践し、その上で、従業員みずからの意識改革につなげていけるよう、機会あるごとに啓発事業に取り組んでいきたい。

(仕事と生活センター)

 ダイバシティー(多種多様な)で違っている目に見えない「違い」を認識し、お互いの違いを受け入れて理解し助け合っていくために、自分のなかにある固定観念を意識することが必要だ。
 女性が働きやすい社会=男性が働きやすい社会だと思うので、政・労・使が一体となって力をあわせて政策をすすめていきたい。

(兵庫県)

 「子育て支援 」「ワーク・ライフ・バランス」は決してコスト高にはならない。これらに力を入れることが、持続可能な社会・企業をつくるのだと思う。
 女性だけの問題と考えず、これからの若い人たちにしわ寄せが行かないようなイキイキとした社会をつくっていきたい。
 そのためには、ひとつの方法にこだわらず、地域に根ざした施策で取り組むことが必要だろう。

◆全体セッションの最後は、今年の6月に兵庫県内の政・労・使の三者が共同で設立した『仕事と生活センター』について、北条センター長が概要を説明しました。

 ひょうご仕事と生活センターのご紹介

091202kosodatesinpo0028.jpg センター長  北条 勝利 

 閉塞感がただよう社会状況の中で、「生きさせろ!」という弱者のさけびが聞えてくるようだ。
 『ひょうご仕事と生活センター』の設立にともない、今の働き方を見直して、誰もが安心して働き、「ワーク・ライフ・バランス」が実現できるようセンターの機能を充実させ、皆さまのお役に立てるよう努力していきたい。

 

~仕事と生活のバランス実現に向けて~ 
活動の4つの柱

1.情報発信・啓発活動

ホームページで先進事例やセミナー情報、各種助成金の情報提供、企業向けの情報誌の発行

2.相談・実践支援

組織内で「仕事と生活のバランス」を推進していくための相談の受付け、課題に応じた適切な専門家の派遣、職場に応じた研修プログラムの提供

3.企業顕彰

「仕事と生活のバランス」について先進的な企業を顕彰し、公表することにより企業の人材確保を支援

4.企業助成

育児、介護等で離職した人の再雇用を行った企業への助成

◆「仕事と生活センター」の詳細については下記のHPアドレスにアクセスして下さい。

http://www.hyogo-wlb.jp/