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2010対県要請

2010度兵庫県に対する政策・制度要請おこなう

◆連合兵庫は11月27日(金)、森本会長・大森副会長ほかが兵庫県庁をたずね、井戸知事に対して2010年度の対県政策制度要請をおこないました。

【出席】

兵庫県
    井戸知事
    高井産業労働部長 20091127taikenyousei00001.jpg
    楠見政策労働局長
    丸山労政福祉課長

連合兵庫
    森本会長
    大森副会長・政策検討特別委員会委員長
    辻事務局長
    土肥事務局長代理
    伊藤副事務局長
    森脇副事務局長
    藤井総務担当部長

【次第】

   要請書手渡し
      ① 2010年度兵庫県に対する政策・制度要請
     ② 地域における雇用・生活防衛のための総合対策に関する要請

    要請概要の説明
     ① 大森副会長から政策・制度要請の趣旨説明
       ・重点項目は、継続して「産業政策」、「雇用の安定と創出」、「『法違反の賃金不払い残業』などの労働基準法違反の一掃」とし、あわせて現在の雇用情勢などから緊急の対策を別途お願いしたい。
     ② 辻事務局長から雇用・生活防衛のための総合対策要請の趣旨説明
       ・昨年末、職をなくした方の住居確保等の問題が生じたが、それを防ぎ、また新卒の就職確保ついて、要請する。

  意見交換
    井戸知事より、「政策・制度要請については、内容を検討し、取り組むべきものについては、現在策定中の予算に反映したい」などの、発言があった後、要請事項についての、意見交換を行ないました。

 

◆2010年度 兵庫県に対する政策・制度の要請

        2010年度 兵庫県に対する政策・制度の要請

 

Ⅰ.地方税財政の確立

20091127taikenyousei00002.jpg  1.地方税財政の確立

(1) 国から地方への税源移譲の実施を踏まえ、個人住民税の公正な徴税に向けて、担当職員の養成等、徴収体制整備をはかること。特に、2009年10月より、個人住民税の公的年金からの特別徴収が行われることから、混乱が生じないよう、各自治体に対し、住民への周知・広報の徹底と本人同意の上実施するよう指導すること。あわせて、個人住民税からの住宅ローン控除、固定資産税の評価替えと負担調整措置などについて、住民への周知・広報を徹底すること。

(2) 現在取り組みの進められている「新行財政構造改革推進方策」にそって、その経過の評価と情報公開を行なうことにより県民の理解を得ながら、更に効率的な執行の取り組みを推進すること。また、財源確保のために、国に対して、地方交付税の対象税目の拡大等の働きかけを行い、財源確保に努めること。

(3) 「地方税電子申告サービス(eLTAX)」の一層の普及に取り組むこと。


Ⅱ.産業政策の推進 


1.産業の振興

(1) 「ふるさと雇用再生特別交付金」や「緊急雇用創出事業(基金)」の活用を通じ、地域特性に即した雇用創出・新事業展開・技術開発に取り組むと共に、固定資産税の減免など税制面での優遇策を講じ、企業や研究所の誘致を積極的に行なうこと。またその際には、経済の血液である金融を司る地域金融機関と、豊富な人的ネットワークを持つ労働組合が参画した「産官学金労」が一体となって経済活性化策を検討・実施すること。

(2) 県が策定している「ひょうご経済・雇用活性化プログラム」の3年目としての取り組みを強力に推進し、それぞれの地域の活性化を通じて地域経済の回復・発展をはかること。

(3) 「産官学」に「金労」を加えた五者による複合的な人的ネットワークを形成し、情報の共有化と利用の促進などによる技術開発支援システムを構築すること。既存の研究機関への支援と新たな研究機関の誘致を進め、先端技術の応用による地域の企業への支援を行なうこと。


2.中小企業政策

(1) 中小企業の活性化のため、引き続き、県の「中小企業融資制度」を拡充すること。あわせて政府系金融機関の事業融資制度を中小企業が活用できるよう周知等を行うこと。

(2) 中小企業の特許などの工業所有権や著作権の取得を促進し、中小企業の技術も含めた知的財産権保護と有効利用の強化に向けて、取得費用の助成や相談会の開催を行うこと。

(3) 介護事業など、公的資格を必要とし、かつ人材確保が求められる職種について、その資格取得を推進している企業を支援するしくみを検討・構築すること。


3.消費者相談センター等の拡充

(1) 悪質商法の撲滅に向けて、広報活動等の被害防止策、あるいは消費者相談センター等による救済活動等の充実・強化を図ること。また、消費者センター等が常設されていない自治体に、消費者相談の窓口機能を常設するよう指導すること。

(2) 消費者相談センター等において、相談員に必要な権限を与えると同時に、人材・予算の確保、相談員の身分・雇用の安定や労働条件の改善を図ること。

(3) 多重債務者問題の解決をはかるために、政府が2007年4月に策定した「多重債務問題改善プログラム」にもとづく相談・救済体制の強化等を実施すると共に、各市町に対しても体制強化を指導すること。


Ⅲ.良質な雇用の創出と能力開発の充実強化 


1.雇用の安定・創出

(1) 連合兵庫、兵庫県経営者協会、兵庫労働局と連携し、働く者の雇用の安定と公正処遇の確保を重視し、産業政策と一体となった地域雇用政策を確立すること。また、雇用は期間の定めのない直接雇用であることを原則とし、地域における良質な雇用機会の創出に向けた雇用対策を強化すること。

(2) 兵庫労働局と連携し、地域雇用創出プランの実現ならびに解雇・失業者対策の取り組み強化など、雇用創出と雇用安定の取り組みを展開すること。
 
また、ハローワーク、能力開発機関の運営実態の把握と職業紹介・能力開発の連携のあり方について、労使を含めた関係者が議論できる検討の場を設置すること。

(3) 中小企業による新卒者の採用を支援するため、兵庫労働局と連携してハローワーク等を通じて積極的に採用会を開催すること。さらに、業界団体・協同組合等が共同採用会を開催する場合には、必要に応じて支援を行うこと。

(4) 兵庫労働局と連携し、若年者、女性、高齢者、障がい者等、働く希望を持つすべての者の就業促進と雇用の安定に向け、職業訓練・職業紹介・就職が連動した離職者支援の確立・強化、非正規雇用から正規雇用への転換支援等の雇用対策を強化すること。

(5) 兵庫労働局、自治体、地域の教育機関、企業、労働組合等と連携し、「ジョブ・カード制度」の普及促進に取り組む等、地域における職業能力開発機会を拡充すること。また、パート、有期契約、派遣、請負労働者等の非正規労働者、フリーター等の若年者、障がい者、母子家庭の母、雇用保険未加入者等に対する公的職業能力開発施策を強化するとともに、訓練受講者に対する経済的支援を行うこと。

(6) 公共職業訓練は、雇用のセーフティネットであること、ものづくり分野等における人材育成、技能・技術の継承・発展にとって重要な役割を担っていることを踏まえ、公共職業訓練及び実施機関(都道府県職業能力開発校、雇用・能力開発機構運営の公共職業能力開発施設等)の安易な民間委託・統廃合を行わないこと。

(7) 地域社会の課題を解決するため、NPO・コミュニティビジネス等のいわゆる社会的企業への支援を強化し、地域活性化・雇用創出をはかること。また、その起業においては、地域産業との連携や多様な人的ネットワークが必要となるため、人材の紹介、異業種交流イベント開催や、大学・企業等とのマッチング機能を充実させること。

(8) 公契約における公正労働基準の確保のため、自治体の工事や業務委託の入札・契約にかかわる公契約条例の制定すること。その際、労働関係法の遵守、社会保険の全面適用、適正な賃金水準および労働条件確保等の条項を設けること。


2.層別対策

(1) 兵庫労働局と連携して、依然として高水準で推移している若年層の失業ならびにいわゆるフリーター・ニート対策を展開すること。

  ① 技能の継承と将来的な人材育成などが企業のみではなく社会的な課題となっており、「若者しごと倶楽部」の充実など、若年未就職者や不安定就労者への就職支援を強化すること。

  ② 若年者に対する相談援助・情報提供や就職支援・職業能力開発サービスなどをワンストップで提供できる取り組みを強化すること。
 
また、「デュアルシステム」による職業能力開発の具体的な取り組みを積極的に進めること。

(2) 「兵庫しごとカレッジシステム運営協議会」および「兵庫県地域労使就職支援機構」と連携し、雇用のミスマッチの解消などきめ細かな取り組みを強化すること。

(3) 離職を余儀なくされる労働者、とくに中高年齢者に対する再就職、職業能力開発訓練を強化すること。その際、労働局と連携し、地域の実態に即して「職業訓練→職業紹介→就職」が一体となった取り組みを強化すること。

 

(4) 「ものづくり大学校(仮称)」の創設と整備を推進すること。「体験館」と「人材育成」の機能を発揮して「体験」と「訓練」のプロセスが相互に触発・連携することにより、ものづくり人材の育成と、小中学生を中心としたものづくりを担う人材の育成をはかること。

.労働安全衛生対策
(1) 労働安全衛生対策ならびに過労死・メンタルヘルス・化学物質曝露など健康確保対策の充実をはかること。
(2) 全国で年間3万人を上回る自殺者があることから、心のケアなどについて労働者および企業・経営者からの相談受付を含む対応を労働局と連携して取り組むこと。

4.就職差別の廃絶の取り組み
 
兵庫労働局と連携して、就職差別の廃絶のため、公正な採用選考となるよう指導すること。

Ⅳ.労働基準法など労働関係法違反の一掃とワークルールの確立

1.兵庫労働局と連携を密にして、引き続き「法違反の賃金不払残業(いわゆるサービス残業)」などの一掃と過重労働につながる長時間労働を撲滅するため、労働関係法の周知・徹底、監督を更に強化すること。加えて、労働契約法を含む労働関係法の周知をはかり、労働者からの相談や申告に親切・迅速に対応して、労働基準法違反、最低賃金法違反、労働安全衛生法違反等、労働関係法違反を一掃し、すべての労働者の労働諸条件の確立と、安心・安全・健康を確保すること。

2.兵庫労働局と連携して、派遣労働者からの相談・苦情に対応すること。

3.兵庫労働局と連携して、派遣元・派遣先事業所に対する個別指導の徹底をはかり、労働基準行政との連携強化等により偽装請負・違法派遣の一掃に努めること。その際、それらの指導監督により労働者の雇用不安が生じないよう、雇用対策を講じること。請負の場合には、労働・社会保険の加入についても社会保険事務所との連携をはかり、加入の徹底をはかること。

4.「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針(パート指針)」を活用した指導を強化すること。
 
また、男女雇用機会均等法改正法案に対する附帯決議の趣旨を踏まえ、雇用形態の多様化に鑑み、派遣元などあらゆる事業主に対する均等法適用の周知徹底を図り、実質的な格差解消のために、法の適格な適用・運用を図ること。

Ⅴ.ワーク・ライフ・バランス社会の実現と子育て支援策の拡充 

1.連合兵庫・兵庫県経営者協会・兵庫県による「仕事と生活の調和と子育て支援に関する三者合意(ひょうご子ども未来三者合意)」と三者に兵庫労働局も加わった四者による「『仕事と生活のバランス』ひょうご共同宣言」に基づき、具体的な施策の積極的な推進をはかること。

(1) 働き方の見直しによる「仕事と生活の調和」の推進
 
働く意欲を持っている一人ひとりが、各々の生活段階において、仕事と生活を調和させ、十分に能力を発揮して働くことができる社会の実現をはかるため、「仕事と生活の調和」の啓発と普及の事業を推進すること。

(2) 「新・ひょうご子ども未来プラン(仮称)」の策定
 
平成21年度までの取り組み計画であった「ひょうご子ども未来プラン」の継続プランを策定し、少子対策・子育て支援を積極的に推進すること。

(3) 地域における子育て支援
 
核家族や地域社会における人間関係の希薄化等の子育て環境の変化に伴い、孤立しがちな母親の育児の負担感や不安感が増大し、家庭のみでは子育てが困難となっていることを踏まえ、地域ぐるみの子育て支援の実現をはかるため、以下の取り組みを推進すること。
  
① 子育て支援をしているボランティア団体や活動資金援助組織への支援
  
② 男性の子育てへの参加推進と子育て応援企業等への総合的支援
  
③ 地域コミュニティにおける病児・病後児保育体制の構築

(4) 子育てや介護と仕事の両立支援の推進
 
育児や介護を担っている人が、働き続けることのできる社会、また育児や介護を理由に一度退職した人が再度仕事に就き、働くことのできる社会の実現をはかるため、以下の取り組みを推進すること。
  
① 育児休職や介護休職の取得推進と復帰時の支援
  
② 出産や育児等を理由として退職した人を再雇用する制度の導入及び活用促進
  
③ 出産・育児や介護などのために一度退職し、再び就職や地域活動などにチャレンジする人などの総合的な支援

(5) 兵庫労働局との連携による支援
  
県の施策と関連した兵庫労働局が実施する両立支援対策事業について、それぞれの施策と事業が密接に連携して行なわれ、相乗効果が発揮できるように、兵庫労働局と連携を深めること。

2.各自治体に対し、保育所の運営において、公立保育所運営費の一般財源化にかかわらず、保育の質の維持・向上をはかるように指導を行なうこと。

3.児童虐待の予防と対応を強化するため行政機関と地域の連携を密にするとともに、こども家庭センターの増設や専門職員の増員、各自治体への児童福祉士の配置をすすめること。

4.各自治体に対して、学童保育についての責任の明確化を求めるとともに、学童保育をそれぞれの小学校区に少なくとも一箇所、早急に整備するよう指導すること。

5.各自治体に対して、地域のニーズに応えるため保育制度の改善・拡充を指導するとともに、「認定こども園」が教育・保育それぞれの基準を満たすことを確保すること。

Ⅵ.男女平等社会の実現 

1.男女共同参画に関する条例制定について、男女共同参画社会基本法及び第2次男女共同参画基本計画の主旨に沿って、各自治体の条例制定に向けた支援を行うこと。条例制定が困難な自治体には、「男女共同参画社会基本法」に基づいた参画計画づくりを支援すること。なお、条例制定または参画計画に、男女雇用機会均等法等の履行確保を図ることと、実質的な男女平等を実現し、事実上生じている男女労働者間の格差を解消するための企業のポジティブ・アクションを盛り込むとともに、社会的性別(ジェンダー)についての誤解や恣意的な解釈が行われないよう、主旨の理解や周知をはかること。

2.雇用においては、性別を理由とする差別の禁止、間接差別の禁止、妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止、セクシュアル・ハラスメント対策の強化に向けた措置等、改正男女雇用機会均等法の履行の確保に向け、兵庫労働局と連携して取り組むこと。

3.県における審議会などへの女性の参画については、これまでも積極的に取り組みを進めてきたが、さらにその参加比率を高めるとともに、各自治体へも審議会などへの女性の参加比率を高めるように指導すること。

4.県は改正DV法(配偶者からの暴力の防止と被害者の保護に関する法律)の基本方針に基づき、被害者支援を強化すること。また市町の計画策定において、被害者支援対策拡充のための支援を行なうこと。

Ⅶ.地域医療の充実 

1.「保健医療計画」や「医療費適正化計画」等、医療提供体制に係る計画の内容について、実態に基づく検証を進め、医師や看護職の適正配置等、改善がはかられていない課題があれば、速やかに見直しを行なうこと。特に病院勤務医、中山間地域の医師不足等については、財政措置を含めた実効性ある対策を講じること。

2.病院勤務医の不足・偏在を解消するため、診療科ごとの必要医師数を定め、その適正配置に向けて、各医療機関や医科系大学と連携した具体的な医師確保対策を検討すること。

3.公立病院改革プランの実行にあたっては、経営効率化の観点からだけでなく、必要な医療が安定的に提供できる医療提供体制の構築を最優先し、財政支援も含めて、住民の安心・安全、利便性が損なわれないものとすること。

4.看護職の不足解消に向けて、院内保育所の設置や、均等処遇を前提とした短時間勤務制度(日勤のみ、夜勤のみ、パートタイム制等)の導入等、ワーク・ライフ・バランスを尊重した職場環境の整備を促進すると共に、潜在看護師の活用に向けた研修制度の充実等、各医療機関等に対する、財源を含めた支援を行なうこと。

5.県は、市町や審査支払機関等と連携して、医療の透明化や医療費の効率化に資するレセプトのオンライン請求が2011年までに全ての保険医療機関で実施されるよう、遅滞なくその環境整備を支援すること。

6.新型インフルエンザを含む感染症への対応については、兵庫県および市町と医療機関を含む関係機関が連携して、感染拡大を防ぐと共に、県民に対して情報発信を行い、県民生活に混乱をきたさないように努めること。

7.各種の地域医療に係る協議会、審議会等の構成においては、保険料を支払う側の立場、患者の立場として、被保険者代表である労働組合を参加させること。

Ⅷ.福祉行政の拡充 

1.高齢者と障がい者に対する福祉サービスの充実と権利擁護の確立

(1) 2009年度介護報酬改定の趣旨をいかし、介護労働者の処遇を改善するとともに、介護を必要とする人が誰でも適切な介護サービスを受けられるよう、以下の取り組みを進めること。
  
① 介護労働者の質の向上や人材育成の研修等を充実させるため、県による事業主・研修受講者への支援や助成を周知・拡充すること。
  
② 介護労働者が安心して働き続けられる環境を整備するため、「介護サービス情報の報告および公表」の調査情報項目に、従業員に対する健康診断や従業員に対する感染症対策の実施の有無、夜間を含む労働時間、労働関係法規の遵守状況、社会保険の加入状況を追加すること。
  
③ 介護療養病床を利用している要介護者が、2012年3月末の介護療養病床再編に伴って行き場を失うことがないよう、地域医療や居宅サービス、地域密着型サービスの充実を行うこと。
  
④ 県は、事業者に対する指導・監査について、市町との連携を強化すること。また、事業所が廃止される場合には、利用者のサービス継続の確保、利用者と馴染みのある関係のある介護労働者の雇用確保について行政も十分な支援を行うこと。加えて、事業者に対しては労働関係法規・通達の遵守を周知・徹底するとともに、労働者の賃金が最低賃金を下回っている場合は、事業者指定の取消を行うなど、厳正な指導監査を実施すること。

(2) 平成21年度から始まった新しい「地域福祉計画」に沿って、高齢者や障がい者も含めた地域で支えあう地域福祉を推進すること。

(3) 障がい者の自立支援と社会参加促進の観点から、利用者の実情に応じた障がい福祉サービスを適切に提供すること。
  
① 「障害福祉計画」に基づき、障がい福祉サービス基盤を整備して地域偏在を解消し、移動介護等の地域生活支援事業も含め、必要なサービス量が確保されるよう、十分な財政措置を講ずること。また自治体に指導すること。
  
② 障がい福祉サービスの利用者負担、施設居住費・食費、自立支援医療の自己負担等については、障がい者の負担能力に配慮して適正かつ公平な負担とし、負担可能な費用でサービスを利用可能とすること。また、自立支援給付に対する国庫負担基準の超過支給を行なうなど、必要なサービスの利用抑制につながらないよう配慮すること。
  
③ 条例や規則、要綱等に残っている、議会の傍聴制限、公営住宅の入居制限、公営プールや図書館等への入場制限、保育所への入所制限等は直ちに撤廃すること。
   ④ 障害者権利条約の批准に向け、障がいのある人の社会参加を阻む物理的・心理的バリアを解消し、完全な平等を達成するために、障がいのある人に対する差別を禁止する条例を制定すること。

(4) 高齢者虐待防止法や地域包括支援センターの役割について住民への周知をはかり、認知症等の高齢者が行うサービス事業者との契約や金銭管理等についての権利擁護システムが積極的に利用されるよう促すこと。また、要介護者の家族のみならず、障がい者の家族や子育て期の親を対象とする相談員事業の拡充と相談員の資質向上に取り組み、福祉サービス利用者の家族に対する総合的な相談・支援体制を整備すること。

(5) バリアフリーについては、移動等の円滑化にかける事業の重点的かつ一体的な推進に関する「基本構想」を、配置計画等を明記して策定すること。策定にあたっては、高齢者、障がい者の参加を保障すること。また、「基本構想」の内容について、高齢者や障がい者等が自治体へ具体的に提案できる構想作成提案制度を市民に周知し、制度の活用を促すこと。

2.生活保護の運営体制の改善・充実

(1) 生活保護を必要とする人が申請の権利(保護請求権)を確実に行使できるよう、実施機関の窓口に申請書類一式を備え置くこと。

(2) 社会福祉協議会の行なっている生活福祉資金貸付制度や、兵庫県の実施している「離職者生活安定資金融資制度」など各種給付や融資の制度の周知を徹底すること。

(3) 雇用情勢の悪化、生活問題の複雑・多様化など福祉現場の業務拡大等を踏まえ、ケースワーカー(現業員)等職員の配置を拡充すること。

(4) 自治体、兵庫労働局、地域の教育機関、企業、労働組合が連携し、職業訓練・職業紹介・就職が連動した離職者や低所得者への支援体制を確立・強化すること。

(5) 福祉事務所を設置する都道府県は、生活保護受給者や母子家庭の母に対する「自立支援プログラム」や、「障害者就労・生活支援センター」の設置等の取り組みを進め、実際に就労することがきるよう、実施体制の強化、ハローワークとの一層の連携を進めること。

(6) 県は、国民健康保険の保険者である市町に対して、低所得者被保険者の実態を的確に把握し、保険料の減免、減額制度の周知徹底に努めると共に、対象範囲の拡大や、生活保護制度への円滑な移行等、低所得者対策の充実をはかるよう指導すること。

Ⅸ.安心・安全にくらせるユニバーサル社会をめざして 

1.災害に強く、だれもが安心・安全にくらせるユニバーサル社会をめざして取り組みを進めること。

2.地域格差が言われる中、交通のシビル・ミニマム(生活基盤最低保障基準)維持の観点から、市町と連携して、公共交通事業者、労働組合、住民などの多様な主体で構成する協議会を設置して「地域公共交通総合連携計画」を作成し、行政区域を越える広域的な視点も持たせた住民生活に必要不可欠な交通路線維持に努めること。

3.災害に強い街づくりを推進するために防災予測地図(ハザードマップ)を早急に整備し、防災計画を策定のうえ必要な防災整備事業を推進すること。加えて、防災予測地図を県民に広く周知することで災害への対応力を強化するとともに、広域防災拠点を全県的に整備し、自然災害や大規模事故に備えること。
  
また、災害により被害を受けた住宅の再建を支援する住宅再建共済制度の普及・啓発に努めること。

4.阪神大震災を経験したわが県は、災害時のボランティアの意識が高まり、民間ボランティアの活動も活発であるが、震災15年を機にこれまでの災害ボランティア活動の運営を取りまとめ、その上でこれからの災害救援ボランティア活動の支援について、県を中心とした関係機関・諸団体の支援・協力体制を構築すること。

5.警察本部と連携して、安心・安全な街づくりをめざして、交番や駐在所の機能強化をはかり、体制の整備をはかること。特に子どもを守る活動を推進するため、地域住民と一体となって取り組むこと。

6.建築確認が期限内に迅速に許可されるよう、構造計算適合性判定員を早急に確保・育成するとともに、必要な予算措置を行うこと。

Ⅹ.勤労者福祉の充実ならびに文化・体育政策の充実 

1.兵庫県を支える大多数の県民は勤労者とその家族である。産業を活性化して豊かな兵庫を実現するためには、勤労者の活力を高めることが不可欠である。勤労者の活力を高めるためには、勤労者が自ら学び、地域に貢献するとともに家族と一緒にリフレッシュできる施設の整備とサービスの充実が不可欠であり、以下の勤労者福祉施策の強化をはかること。

(1) 働く者が集い自ら学べる労働会館等の設備ならびにプログラムの充実をはかること。

(2) 働く者が地域に貢献できるボランティア活動の支援のため兵庫勤労者ボランティアシステムの更なる強化をはかること。

(3) 働く者とその家族がともにリフレッシュできるように、連合兵庫と兵庫県経営者協会が運営改善を支援している「憩いの宿」の利便性の向上をはかるとともに、勤労者福祉施設の充実をはかること。

(4) 中小企業に働く者の福利厚生を促進するため「勤労者福祉サービスセンター」の運営の健全化と充実をはかること。

(5) 勤労者ならびにOBとその家族に対して、連合兵庫は様々な福祉サービスを提供する拠点を開設している。その運営スタッフ拡充やサービス充実のための人材育成などに、連合兵庫と連携して取り組むこと。

2.広く県民の心を豊かにし、青少年の育成に資するような芸術・文化・体育施設の充実をはかり、芸術・文化・体育活動の支援を充実させること。

ⅩⅠ.教育行政の充実 

1.教育の機会均等を確保するために、自治体が定める就学援助の水準は、義務教育でかかる費用を賄えるものとすること。また高校生に対する奨学金等(授業料等への補助を含む)の制度拡充について、政府・文部科学省の予算措置状況を見極めつつ、その有効活用を図ること。

2.教育委員会と連携して勤労観・職業観を育む教育を推進すること。
(1) 子どもの成長段階に応じて、働く者の権利、労働組合の必要性等、「労働の尊厳」を深く理解し、勤労観・職業観を養うための系統的な労働教育を行なうこと。
 
そのため、中学生の「トライやる・ウィーク」と高校生の「トライやる・ワーク」や「就業体験事業」の連携をはかり、取り組みの効果を高めること。
 
また、高等学校における進路指導(就職指導含む)体制を強化すること。

(2) 参政権や生存権、税や社会保障、食・農業・環境・エネルギー・消費行動等、自立した社会人として必要な知識・意識を身につけるための教育を充実すること。

(3) 全ての教育課程において、授業・講座に労働組合等が参画できるしくみをつくること。

3.それぞれの自治体ならびに教育委員会と連携して、以下の取り組みを進めること。 

(1) 教育環境整備の一環として、30人以下の少人数学級を実現すること。

(2) 通学路の安全・防災ネットワークづくりや学校の安全管理体制を強化し、子どもの安全を地域で確保すること。

(3) 都道府県・市町村・教育委員会は、学校を地域のコミュニティ拠点として活用し、子どもと大人の協働の場として機能を持たせること。
 
また、学校施設の建築・整備を進めるにあたっては、耐震化の推進はもとより、環境を考慮した学校施設の改築・整備、また安易な統廃合を行なうのではなく、高齢者・障がい者等を含めた地域住民との交流を意識した多機能・複合施設化を進めること。

ⅩⅡ.環境保全と地球温暖化防止 

1.環境関連分野への投資・支援による「グリーン・ジョブ」の創出・拡大

(1) 県は、「グリーン・ジョブ」の考え方を踏まえ、市町と連携して各地域の特性を生かした雇用創出のための施策を推進すること。

(2) 県は、再生可能エネルギー(太陽光発電・風力発電、等)の導入に対する補助・助成を創設・拡充すること。

(3) 県は、石綿(アスベスト)問題について、一般被害者およびその家族に対する心身両面での対策を実施し、また市町に対して指導すること。

2.京都議定書の第一約束期間(2008~2012年)において、地方自治体は、温室効果ガス排出削減に向けた「3R活動」・「見える化」の推進等、各種施策を実施すること。 

3.県は、県民参加による「地球温暖化対策市域推進計画」等を策定し、市町とも連携して取り組みを推進するとともに、環境保全に対する県民の意識を高める取り組みを行なうこと。

4.「ノー・マイカー・デー」の設定や「パーク・アンド・ライド」のなどエコ通勤の促進等により環境負荷低減となる取り組みを推進すること。

5.県および市町は、率先かつ前倒しして、「グリーン購入」を拡大すること。

ⅩⅢ.食料・農林水産政策 

1.農林水産業におおける新規雇用の創出

(1) 農林分野での新規雇用をはかるため、農業生産組織(担い手農家・農業生産法人・農業サービス事業体等)及び林業事業体(森林組合・林業会社等)の育成・支援を強化すること。

(2) 農林水産業への新規就労の促進をはかるため、ワンストップ支援センターの設置等による就労希望者への適切な情報提供やコンサルティングを実施すること。

2.食料自給率の向上に向けて、地域の条件や特色に応じて、地域の食料自給率や地産地消の取り組みの目標設定等の取り組みを進めること。
  また、地域における食料備蓄体制の点検・整備を推進すること。

3.食の安全確保に向けて、保健所における食品衛生業務を拡充し、食品に関する苦情相談や、食品の製造・流通等への監視指導体制の強化を図ること。

4.「食育推進計画」に基づいて食育を推進すること。食育は、とくに子どもや高齢者の健康、さらには食文化の継承の観点からも重要であり、学校などの関連機関と連携をはかりつつ、学校教育および社会教育における体験学習等の充実をはかること。

ⅩⅣ.公務員の労働基本権確立と公務員制度改革 

1.公務員の労働基本権の確立とその対応には誠意を持って取り組むこと。

2.行政改革の実施により、行政機関・独立行政法人等に働く者の労働条件、雇用に影響が予想される場合には、必ず事前に関係労働組合との交渉・協議を行い、労働条件の維持、雇用の確保に万全の対策を講ずること。

ⅩⅤ.「新しい公共」の創出に向け、市民参加のための政治・行政改革 

1.「新しい公共」に市民が参画する自治体体制の構築のため、以下の取り組みを進めること。

(1) あるべき自治は、行政の関与が低く市民の関与が大きい社会である。このような市民自治社会を実現するためにも、多様な担い手が合意形成を前提に提言・実施できるしくみづくりを行なうこと。

(2) 市民にとって質の高い公共サービスを確立するため、担い手を選定する際には、担い手側の事業遂行能力や職務における公正な労働条件等も考慮したうえで決定すること。

(3) 安全・安心に関わる公共サービスについては、市民が参画する審査会等を通じながら最終責任者である行政が責任を持って監視体制をしくこと。

2.地域行政に市民が参画するための公会計の整備

(1) 市民が行政水準にあった事業の必要性を見極めることができるように、事業別の費用を住民一人当たり負担に置き換えた数値を開示する等、住民に対する説明責任を果たすとともに、徹底した情報開示を行なうこと。

(2) 将来に向けた税制の安定性や市民負担を明らかにするため連結のバランスシートを作成し、自治体の現状の資産並びに将来にわたる負債を開示することで、住民の自治体政策への参画意識を啓発すること。

3.各自治体や選挙管理委員会ならびに地方議会・議会事務局と連携して、有権者の投票の利便性向上や行政・議会への参加を促進するため、投票所(期日前投票所を含む)を人の往来の多いところに設置することや、議会の夜間・休日開催など一層の公開や傍聴促進への環境整備を行うこと。

以上

 

◆地域における雇用・生活防衛のための総合対策に関する要請書

2009年11月27日

兵庫県知事
井 戸 敏 三 様

日本労働組合総連合会兵庫県連合会
会 長  森 本 洋 平

地域における雇用・生活防衛のための総合対策に関する要請書

  日本経済は、2009年4~6月期の実質GDPが前期比0.6%(年率換算2.3%)と、5四半期ぶりに実質成長率がプラスになったものの、働く者の生活実感としては一向に改善の兆しは見られません。また、全国の完全失業率は2009年7月に5.7%と過去最悪を記録して以降、8月5.5%、9月5.3%と厳しい水準であり、同じく有効求人倍率も0.42倍(8月)と過去最低水準が続くなど、緊急な経済・雇用対策の強化が求められています。そのため、政府は、10月23日に「緊急雇用対策」を取りまとめています。

  こうした状況下、連合は10月29日の第1回中央執行委員会で、①景気・消費回復、雇用・生活防衛のための総合経済対策の効果的な実施、②雇用の安定とセーフティネットの整備・拡充、③安心して暮らせるための社会保障制度の確立、の3本柱を中心とした政策課題に取り組むことを確認しました。現在、政府への要請行動を行っていますが、これらの政策には、国・地方自治体の連携と地方自治体の積極的な取り組みが極めて重要です。

  つきましては、連合兵庫としましても、兵庫県における緊急雇用対策の着実な実行を強く要請します。

1.年末に向けた各種就労・生活支援制度の周知徹底

  住居や生活に困難を抱える離職者等に対し、年内に各種制度の給付が行われるようにするため、各種支援制度の集中周知期間を設定し、周知を徹底すること。

2.各種相談窓口の連携強化および対応の迅速化

  地方自治体が支給する「住宅手当」「生活保護」、社会福祉協議会の「総合支援資金」「臨時特例つなぎ資金貸付」について、申請手続・審査期間の短縮に努めるとともに、相談者が各種制度に適切にアクセスできるよう、ワンストップ・サービスの実施を含め、地方自治体、ハローワーク、社会福祉協議会の連携を強化する。また、相談者の心のケアに配慮するため、就労生活支援等の窓口でのカウンセラー配置等、必要な措置を講じること。

3.離職者向け住宅の確保

  公営住宅の入居要件の緩和等、住居喪失離職者の住宅確保(シェルター利用可能な臨時住宅含む)について、取り組みを促進する。その際には、「地域住宅交付金」(国土交通省)を積極的に活用すること。

4.新卒者の就職支援

  新卒者の就職支援を行う。また、高校・大学等における新卒者就職支援に対する援助を行うこと。

以 上