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男女共同参画研修会を開催
改正育児・介護休業法を誰もが利用しやすい制度に!
女性委員会が男女共同参画研修会をひらく
◆連合兵庫女性委員会では、毎年6月を「男女平等月間 」に位置づけ、男女が働く上での様々な課題について、テーマを決めて研修会を企画してきました。
◆今回は、6月13日(土)に、男女の組合員60名が参加して、今国会で改正される予定の『育児・介護休業法』についての研修会を開催しました。
◆研修会は、2部構成でおこない、第1部では、実際に育児休業を取得された男性の体験談に加えて、育児休業復帰者を迎えた経験のある女性委員会役員より、その当時に感じたことなどについての講演を聞き、つづく第2部では、参加者が各グループに分かれて、それぞれの職場での『育児・介護休業』の実態につい て話し合いました。
◆参加者たちは、育児・介護休業法について、対象となる労働者が利用しやすい制度にしていくためには、何が必要なのかということについて、活発に意見交換をくりひろげました。
◆当初の予想を上回る参加者をむかえて始まった研修会は、玉田副委員長(ゴム連合:ニチリン労組)の司会・進行ですすめられ、まず最初に、主催者を代表して永井委員長(UIゼンセン同盟)があいさつに立ちました。
主催者あいさつ
連合兵庫女性委員会委員長 本日はお休みだった方もいらっしゃるかと思います が、私ども連合兵庫女性委員会の男女共同参画研修会に、このように多数の方にご参加いただき、有難うございます。 本日の研修会には、講師として連合大阪の久保さん、そして、連合兵庫の森本会長にもかけつけていただいておりますので、労働組合をとりまく政治や経済状況については、のちほどご挨拶をいただく森本会長にお願いすることにして、私の方からは、最近、気になっていることについてお話したいと思います。
それは『弁当男子』という言葉についてです。
先日、出身組織の本部へ出向いたおりにも、単身赴任の役員の中に、この『弁当男子』を発見しました。 このように、お弁当を手作りするという行為から、私たちを取り巻く経済問題や環境問題、そして自分の健康への関心など、様々なものが見えてきます。 今回の研修会のテーマは『育児・介護休業』についてですが、「自分でお弁当を作る」ということも、今、盛んにいわれている『ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)』を考える上での一つのきっかけとなるのではないかと感じています。 本日の研修会は土曜日開催ということで、『ワーク・ライフ・バランス』には程遠いかも知れませんが、日頃のワーク・ワークの生活から抜け出して、ワークとライフのバランスのとれた生活に変えていくための第一歩として活用していただければ幸いです。 |
◆つづいて、連合兵庫を代表して森本会長があいさつに立ち、会長自身が父親を介護した経験にふれながら、労働組合をとりまく状況について述べました。
連合兵庫あいさつ 連合兵庫会長 森本 洋平 連合兵庫の春闘もほぼ終結いたしました。結果については予 想していた以上に厳しい状況であり、忸怩たる思いがいたします。そのような厳しい中でしたが、春闘中間まとめの報告では、パート共闘の時間賃金は全国平均で、13.4円アップいたしました。
厳しい春闘の中にあって、その健闘を称えたいと思います。
今日の研修会のテーマである育児・介護休業法の改正案は、今国会に提出予定です。
そのためには、今日のテーマである育児・介護休業も非常に大切ですし、ワーク・ライフ・バランスをどのように実現していくか、働き方の見直しや多様性が重要になってきます。 本日の研修会では、実体験された思いや、相互の意見交換を通して、問題認識を共有すると同時に、自らのモチベーションアップにつなげていただきたいと思います。 |
◆研修会第1部開始にさきがけて、西嶋事務局長(兵教教:兵教組)が、本研修会の趣旨と、『育児・介護休業法』の改正のポイントについて説明しました。
育児・介護休業法改正案の概要
趣旨:少子化対策の観点から、喫緊の課題となっている仕事と子育ての 両立支援等を一層進めるため、男女ともに子育てをしながら働き続 けることができる雇用環境を整備すること
◆改正のポイント◆
1.子育て期間中の働き方の見直し ●3歳までの子を持つ労働者については、短時間勤務制度(6時間)を設 けることを事業主に義務づけ、労働者から請求があったときは、所定外 労働(残業など)の免除を制度化する ●子の看護休暇制度を拡充する (小学校就学前の子が1人であれば5日、2人以上は年間で10日)
2.父親も子育てができる働き方の実現 ●父母がともに育児休業を取得する場合、子が1歳2ヶ月(現行は1歳) になるまで期間を延長できる●出産後8週間以内に父親が育児休業を 取得した場合、特例として、父親の育児休業の再度の取得を認める ●配偶者が専業主婦(夫)であっても、育児休業を取得することを認める
3.仕事と介護の両立支援 ●要介護状態にある家族の通院の付き添いなどに対応するため、介護 のための短期の休暇制度を設ける (年に5日、対象者が2人以上あれば年10日)
4.法の実効性の確保 ●育児休業の取得などにともなう苦情・紛争について、都道府県労働局 長による紛争解決の援助および調停委員による調停制度を設ける ●勧告に従わない場合の企業名の公表や、報告をもとめられた際に虚偽 の報告をした者等に対する過料(罰金)を設ける
※ 最近、問題となっている育児休業中の女性の解雇問題、いわゆる「育 児切り」等を防止するため、4.の導入次期を当初の案より前倒しする ことも盛り込まれている。
※ この改正案は、6月16日現在、衆議院本会議で全会一致で可決さ れ、参議院におくられた。 |
◆つづいて基調講演に入り、連合大阪(組織・中小・広報グループ)の組織部長で、ご自身の第3子誕生を機に、一ヶ月の育児休業を取得された久保真光さんを講師にむかえ、育児休業を取得するに至った経緯や、休業中に感じたことなどについての体験談に耳をかたむけました。
私の育児奮闘記 ~育児休業を体験して~
連合大阪 組織・中小・広報グループ (講演内容:抜粋) 第 1子、第2子の誕生時には、仕事に追われており出産に立ち会えなかった。その時の反省もあり、仕事で福祉政策を担当していたこともあって、5年前に第3子をさずかったのを機に、育児休業を取得することを決心した。
しかし当時は、私の職場である連合大阪には育児休業制度は整備されていなかった。
休業中に一番うれしかったことは、上二人のこどもたちが見せるさまざな言動や表情を、リアルタイムで感じ取ることが出来たことだ。
このようなことは、職場で仕事をしているだけでは決してできないことなので、貴重な経験だった思う。本日の研修会に参加されている男性の皆さんにも、ぜひ、取得をおすすめしたい。
私自身は、この「休業」という言葉はあまり好きではない。 私が育児休業を取得したことで、私自身にも変化があったし、妻や子どもたちにもよい変化があった。これはとてもすばらしいことだと思う。何かを変えていこうとすれば、まず自分が変らなければいけない。 育児休業取得率の調査によれば、子育てに関わっていきたい男性が増えてきているにもかかわらず、男性の取得率は1.56%と低くくなっており、現在の状況では、まだまだ少数にとどまっている。休業中の経済的な支援の充実などが必要となってくるだろう。
子育てに直接かかわることのできる時間は限られており、人生という長いスパンの中で、いわゆる「ワーク・ライフ・バランス」を考えていくことが大切になってくるのだろう。 |
◆基調講演につづいて、永井委員長(UIゼンセン同盟)が、自身の職場で二人の育児休業復帰者をむかえた経験について語り、同じ職場で働く仲間として、復帰後の働きやすい環境づくりのために必要な課題として、
①休業中でも仕事を忘れないようにはたらきかけること
②復帰後の役割を明確にして、仕事に責任を持たせること
③復帰後の短時間勤務の中で、仕事の質の向上を図るための支援をすること
④複数の人間でチームを組み、仕事を分担すること
などをあげました。
◆さらに、休業から復帰した労働者の「仕事と生活の両立」を実現するためには、復帰者本人の『仕事への意欲』と、むかえる側の同僚が『両立することへの理解』を示すことが、キーワードとなるとし、自分自身も逆の立場になる可能性が大いにあるので、「お互いさま」の精神で助け合っていくことが大切であると述べました。
◆質疑・応答
のあと10分間の休憩をとり、研修会第2部のグループ討議に入りました。
第2部では、席の隣同志および前後の参加者でグループをつくり、ワークシートを使って、それぞれの職場での育児休業、介護休業の利用状況や、課題について話し合いました。
◆約1時間に亘った討議では、討議時間が終了しても熱心な議論が続くグループもあり、参加者たちの関心の高さがあらわれていました。
◆その後、3つのグループより討議内容の発表がありました。(以下は発表の内 容の抜粋)
■ 育児・介護休業というと、どうしても「育児」のほうに目がい きがちだが、切実な問題は「介護」にある。育児については先が見通せるが、介護は先が見えず、いつまで続くのか不安が大きい。育児休業については、ある程度、条件や制度が整っているが、介護休業は十分ではないところがほとんどだ。
賃金保障のこともあり、介護休暇ではなく有給休暇を利用する場合が多い。育児と違って、介護の問題は表に出にくいので、職場で身近な人たちと話し合うことが大切だと思う。制度を充実させるためには、政府を動かしていくしかないが、労組からもはたらきかけていく必要がある。
■ 育児休
業制度のことは、職場でもネット情報の共有などで、制度の内容を知る機会は多いが、周知徹
底まではいっていない。管理職だけが内容を知っているのではないか。休業中の賃金や仕事での待遇などが気にかかるようで、男性の取得者は身近にいない。
そんな中でも、妻が第2子を出産するときに、夫が第1子の世話をするための特別休暇(5日間)が取れるという制度を、この4月から導入した組合もある。
■ 育児休業制度の周知については、女性同士では情報交換ができているようだ。男性については
、内容をほとんど知らないというのが現状である。参加者の身近に1年間の休業を取得している男性がいるとのことだが、その間の生活費の問題もあると思うし、率直に言って、男性が休む必要があるのかという疑問もある。1年間といわず、必要なときに臨機応変に休みが取れる制度がいいのではないか。
また、休業からいきなり復帰することにも不安が多いと思うので、復帰プログラムのようなものがあればスムーズにいくのでは。休業制度の運用には、上司の理解も大きく影響するので、それらを含めた職場環境を整えておくことが大切だ。
◆最後に、本研修会のまとめと、閉会あいさつを西嶋事務局長(兵教協・兵教組)がおこない、研修会のすべての日程を終えました。
閉会あいさつ
連合兵庫女性委員会事務局長 第1部の基調講演では、連合大阪の久保さん、そして永井委員 長より貴重なお話をいただきましたことに感謝致します。
そして、第2部のグループ討議では、あちこちのグループから活発な話し声が聞えてきて、やはり育児・介護ついては関心が高いのだなと実感しました。
連合では、労働者が知っておくべきこととして
あるけれども使えない、管理職しか知らないような制度では意味がありません。 先ほどの意見発表の中で、第2子の出産時に、父親が特別休暇を取得できる制度を導入したとの紹介がありました。兵庫県では、県の職員を対象とした「子育て支援条例」をこの4月に改正し、育児休業から復帰した子の養育者が体調を崩したり、保育園に通わせていた子が不登園になったりした場合に、再度、育児休業(最長で一ヶ月)が取れることになったそうです。 このように、国の法律が改正されるだけでなく、私たちの身近なところでも制度が変わってきていますので、そのような点を自分たちの職場にどう反映させていくのか、私たち自身が意識していかなければなりません。 働きやすい職場の実現のために、これからも力をあわせてがんばっていきましょう。 |