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兵庫勤労福祉Cが『働き方の多様化』でシンポ

雇用形態にかかわらず主体的選択が可能な多様性を

(財)兵庫勤労福祉センターが調査発表とシンポ

090328zaidansinpo034.jpg ◆(財)兵庫勤労福祉センターは3月28日(土)、神戸ポートアイランドの神戸商工会議所『神商ホール』で、『働き方の多様化と生活意識に関するアンケート結果発表会とシンポジウム(後援:連合兵庫・兵庫県)』をひらきました。

◆連合兵庫構成組織・地域協議会を中心に約180名が参加する中、昨夏におこなったアンケート調査の分析結果の報告と、この問題について参加者との対話をおこないました。

◆シンポジウムは、土肥淳二:財団理事(連合兵庫事務局長代理)の司会で幕を開け、
「当センターでは、一昨年来、『男女協働参画』について研究をすすめ、調査結果につい 090328zaidansinpo001.jpg ても一昨年11月に、この同じ会場でシンポジウムを開催すると共に、報告書を作成して情報提供してきました。そうした活動をすすめる中で、男女共同参画や少子化の問題を語る時、この雇用形態の多様化ということが大きな問題になっているのではないかということに行き当たってきました。そこで、これを調査し、方向性を見出していかなくてはならない、ということで昨年アンケートを皆さん方のご協力をいただきながら実施し、ここに一定のまとめができましたので、発表の場をもたせていただくと同時に、本日、会場には非正規雇用で働いておられる皆さんもお越しいただいておりますので、その方々も含め対話の時間を持ちたいと思っております」
と開催の趣旨を述べました。

◆森本洋平:財団理事長(連合兵庫会長)が主催者あいさつに立ち、

主催者あいさつ

(財)兵庫勤労福祉センター理事長 : 森本洋平 

◆今回のテーマは『多様な働き方と生活意識について』ということです。近 090328zaidansinpo003.jpg 年この多様な働き方という言葉が注目をあつめていますが、これについては働く側から見ることが大事で、労働者が主体的に選択できるような多様性になっているかどうかが問題です。

◆連合としては、現行の労働者派遣法には基本的に反対しており、ことに製造業においては雇用の流動性・不安定性から強く反対しています。

◆のちほど詳しい報告がありますが、今回の調査ではたいへん興味深い結果が出ています。非正規従業員になった理由が若年層と中高年世代では大きく異なる。また非正規雇用労働者では諸制度の利用が困難な実態がある。正規・非正規の雇用形態で賃金格差が特徴的にでている。仕事の満足度では、雇用の安定性か時間の自由度かの2者択一という窮屈な状況におかれている。等々。

◆さまざまな問題について一定の傾向を捉えることができていますので、皆さんの会社と比較しながら、是非ともそれぞれの職場活性化に役立てていただきたい。

◆来賓あいさつ

来賓あいさつ

兵庫県しごと局長 : 大裏  篤

◆土曜にもかかわらず、このシンポジウムがたいへん盛況裡に開催されま 09032zaidansinpo007.jpg すことをお喜び申し上げます。また、『働き方の多様化と生活意識』という、まことにタイムリーなテーマ設定で開かれますこと、さらに、現下の厳しい経済状況の中で兵庫県下でもさまざまな問題が起こっていますが、そういう状況にも呼応する形で行われる取り組みに対しましても、深く敬意を表しますとともに、大いにご期待申し上げる次第です。

◆兵庫県としましても、連合兵庫をはじめ経営者協会、兵庫労働局などとも連携しながら、経済・雇用の安定はもとより、雇用の質についても改善されるべき点は改善されていくよう指針を示し、施策を進めているところです。労使がともに豊かさを実感できる地域社会の実現をめざして、力を合わせてがんばっていきましょう。 

 ◆つづいて、シンポジウムのコーディネーター・パネラーの方々をご紹介し、ご登壇いただきました。

コーディネーター
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 ◆コーディネータを務めていただいた甲南大学教授:野々山久也氏

  野々山  久 也  (甲南大学教授)

パネラー
  藤  野  敦  子  (京都産業大学准教授)
  横 山  由紀子  (兵庫県立大学准教授)
  川 田  菜穂子  (神戸大学大学院博士課程後期)
  佐  藤  幸  一  (連合兵庫政策アドバイザー)
  永  井  幸  子  (UIゼンセン同盟兵庫県支部常任)

 ◆  アンケ ート結果の報告   
          (報告者  藤野敦子氏・横山由紀子氏・川田菜穂子氏) 

『働き方の多様化と生活意識に関する調査』

結果(概要)報告 

非正規従業員になった理由―若年層に見られる消極的理由『正規従業員になれなかったから』

090328zaidansinpo014.jpg ◆男性20代では37.5%が、女性20代では27.9%が『正規従業員になれなかったから』、また男性20代では30.9%が、女性20代では26.5%が『正規従業員として就職するつなぎとして』非正規従業員になっている。
➩若年世代では、男女ともに消極的理由から非正規従業員を選択せざるをえない傾向が読み
取れる。
女性50代では『勤務時間や労働日数が短いから』が39.2%、『通勤が容易だから』が29.3%。男性60代では『勤務時間や労働日数が短いから』と『希望の労働時間、日数で働くことができるから』がともに30.4%、『専門的な資格・技能が生かせるから』が43.5%。
➩中高年世代では、非正規従業員としての『働き方』のメリットを評価し、非正規従業員を選択。 

非正規従業員の勤務先で利用可能である制度―派遣従業員は諸制度の利用が特に困難

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◆京都産業大学准教授:藤野敦子氏 
◆有給休暇については、契約従業員、派遣従業員はほぼ9割を超える人達が利用可能と回答している。非正規従業員でも取得可能であるということがかなり浸透していると思われる。ただし、パート従業員に関しては、相対的に浸透度が低くなっている。
◆派遣従業員は、他の雇用形態に比べると制度の適用や利用の割合が低いと思われる。特に慶弔休暇、福利厚生、育児・介護休業制度の適用や利用の割合が低い。半年などの短期契約が大多数であることなどが影響していると考えられる。
◆退職金支給、昇進、昇格に対して、パート従業員では利用できると回答した割合が相対的に高くなっている。パート従業員は、雇用期間の定めがない場合も多く、勤務年数が長い傾向があるためと考えられる。
◆正規従業員への転換制度に関しては、契約従業員に利用できると回答した割合が相対的に高くなっている。派遣従業員、パート従業員はともに2割程度と低い割合になっている。

 

正規従業員と非正規従業員との賃金格差―男性より女性が、大卒より高卒が非正規従業員になる デメリットが少なくなる

◆正規従業員と非正規従業員(特に派遣従業員)との賃金格差は、高卒である方が小さい。学歴が低くなるほど賃金格差が小さくなり、非正規従業員を選択する賃金におけるデメリットが少なくなる。 090328zaidansinpo016.jpg
正規従業員と非正規従業員との賃金格差は女性の方が小さい。また週実労働時間も短く、女性が非正規従業員を選択するデメリットは男性よりも少なくなる。

 

世帯の収入格差―最も厳しい母子、父子家庭の世帯。非正規世帯は世帯年収300万未満が20%

◆共稼ぎ世帯では、700万円以上に8割以上が分布。平均年収はおよそ1,032万円。
『夫が正規、妻が非正規就労』が最も世帯数が多く、標準的な世帯。500万円以上1,000万円未満に約7割が分布。平均年収はおよそ764万円。
『夫が正規、妻が無業(専業主婦)』の世帯では、400万以上800万円未満に約7割が分布。平均年収はおよそ628万円。
『夫、妻とも非正規』の世帯では、600万円未満に約8割が分布。また300万円未満にもおよそ2割が分布。平均年収はおよそ467万円。
『父子・母子家庭』の世帯は300万円未満に約7割が分布。平均年収はおよそ270万円。母子家庭がおよそ9割を占め、母親の雇用形態はパートが48%、派遣が21%、正規従業員が19%、契約が9%となっている。

仕事の満足度―正規従業員は『雇用の安定性、賃金』に満足、非正規従業員は『時間の自由度』に満足

◆男性、女性とも、正規従業員と非正規従業員の満足度の高い項目は一致していない。正規従業員は『雇用の安定性』『賃金、報酬制度』『福利厚生』の満足度が高く、非正規従業員では、『労働時間』『出勤時刻などの勤務形態』『休日・休暇の取得日数』の満足度が高い。
➩労働者にとっては、雇用の安定性や賃金をとるか、労働時間、休日などの自由度の高さを取るかの二者択一である可能性。
◆配偶者の有無別、男女別、雇用形態別にみた場合、有配偶の正規女性が最も仕事全般の満足度が高く、無配偶のパート女性が最も低い。

未婚者の結婚意欲と結婚に対する不安―契約・派遣従業員の結婚意欲は高いが、『相手が見つからない』『結婚費用』の不安が大きい

◆未婚男女の結婚したくないと考える割合は、パート従業員に高い。詳細な統計分析をした結果、パート従業員は①交際相手のいる割合が低い②伝統的な家族観が希薄である③子どもを持つ意欲が低い。これらにより結婚意欲が低いことが明らかになった。他の雇用形態に関しては、正規従業員同様、結婚したいと考える割合が7割を超えている。
派遣従業員、契約従業員は、正規従業員同様に結婚意欲は高いが、『結婚相手が見つからないこと』『結婚費用』に対し、不安を抱える割合が高くなっている。

夫婦世帯の子どもを持つ意欲や生活の不安―自分や家族の医療費の不安がある中で、子どもを持つ意欲がわかない非正規世帯

◆非正規従業員同士の世帯では、予定子ども数が低くなっている。詳細な統計分析をした結果、子どものまだいない夫婦に関して、非正規従業員同士の世帯、妻が非正規従業員の世帯は他の世帯に比べ予定する子ども数が少なくなっている(非正規世帯が最も少ない)。
妻が非正規従業員の場合、育児休業など育児制度を活用しにくいことが予定子ども数の少なさにつながっているものと考えられる。
➩非正規従業員の場合、収入が低いこと、育児などの制度が利用しにくいことで、現実的には『多様な働き方』の拡大が子育て・介護などの面でも家庭支援にはなっていない。
◆非正規世帯に関しては、さまざまな生活の不安の中で自分や家族の医療費に対して不安に思う割合が他の世帯と比較して特に高くなっている。
◆医療、年金に関して、パート従業員の場合には有配偶であっても未加入者が存在している。(無配偶の場合には、パート従業員男性の19%、派遣従業員男性の10.8%が公的年金未加入となっている。)

非正規従業員の活用状況―9割以上の職場で非正規従

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◆兵庫県立大学准教授:横山由紀子氏 
業員を雇用

◆非正規従業員は9割以上の職場で雇用されている。営業・販売職、技能・生産職で非正規従業員割合が高く、逆に教育職では非正規従業員の割合は低い傾向にある。
特に営業・販売職で非正規従業員の活用が進んでおり、『ほとんどが非正規従業員である』という回答が1割以上、『非正規従業員の方が多い』という回答が約4割を占めている。

非正規従業員活用による職場への影響-7割の人が『非正規従業員は戦力』と認識

◆正規従業員の7割以上の人が非正規従業員を『戦力』として捉えているものの、正規従業員の超過勤務に与える影響や技術等の蓄積については否定的な意見も多い。
非正規従業員活用の職場への影響に対し評価が高いのは教育職と営業・販売職であるが、これらの仕事では超過勤務に関する不満が多くなっているのが特徴である。
技術等の蓄積については肯定的な意見よりも否定的な意見の方が多く、特に、専門・技術職や生産・技能職で評価が低くなっている。

非正規従業員活用に対する意識-非正規従業員の活用に賛成している人は1割程度

いずれの活用方法に関しても反対意見が約半数を占め、賛成意見は1割程度にすぎない。ただ、営業・販売職では他の仕事に比べ賛成意見が多くなっており、特に非正規従業員が職場のリーダー役につくことに関しては賛成意見が反対意見を上回っている。
非正規従業員を『戦力』として認識していない人ほど非正規従業員の活用に対する反対意見が多く、賛成意見は『戦力』として認識している人でやや多い。
リーダー役につくことに関しては、『正規従業員が自分の仕事に専念できていない』『正規従業員の超過勤務が多くなっている』と否定的な意見を持つ人で賛成意見がやや多くなっており、非正規従業員をリーダー役として活用することで正規従業員の労働環境が改善されると期待している人も少数ながら存在している。

正規従業員の仕事の満足度―正規従業員の仕事の満足度は、職場で非正規従業員の割合が高い人ほど低いが、非正規従業員を『戦力』と評価している人では高い

◆職場で非正規従業員が半数程度以上いると回答した人では、仕事全体を総合した満足度が低い傾向にある。特に『雇用の安定性』や『賃金・報酬制度』、『福利厚生』、『職場の人間関係、コミュニケーション』の満足度が低い。
しかし、非正規従業員を『戦力』と評価している人 では、仕事の満足度の各項目とも高い。

正規従業員が働きやすさを高めるうえで重視するもの-『ワーク・ライフ・バランス』の改善を求めている人が多い◆正規従業員が働きやすさを高めるうえで重視するものに

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◆神戸大学大学院:川田菜穂子氏 
は、54.6%が『休暇を取りやすい雰囲気づくり』を、49.1%が『労働時間が長くなりすぎないような配慮』をあげている。
➩ワーク・ライフ・バランスの改善を求める人が多い。
男性では、若い世代ほど『個人の成果や業績に応じた評価』や『従業員の能力開発』を、中高年世代ほど『定年制の延長など高齢従業員の活用』や『年齢や勤務年数に応じた評価』、『従業員の心の健康への相談対応』を重視している。
女性では、若い世代ほど『育児を行う従業員に対する支援』を、中高年世代ほど『従業員の心の健康への相談対応』や『年齢や勤務年数に応じた評価』を重視している。また『多様な働き方の整備』をあげる人は、30代で多くなっている。

正規従業員の短時間勤務制度の利用-子育て期の女性であっても少ない利用。しかし、男女・  世代を問わず利用のニーズは高い

◆『現在利用している』と回答した人の割合は、全体の4.4%しかない。未就学の子供どもを持つ正規従業員女性に限っても、現在利用している人は8.5%しかいない。
男性では、年齢による大きな差はみられないが、すべての世代で『利用したい』、または『将来利用するかもしれない』と回答する割合が高い。女性では、子育て期にある30代、20代以下で、特に利用のニーズが高い。
➩性別や世代、利用目的を限定しないより柔軟な制度利用が検討されるべき。

まとめ

現在、職場の中での非正規従業員の割合は高く、戦力になっていると意識されている一方で、非正規従業員の雇用条件、就労環境、社会保障などに関する制度面での整備は遅れている。そのことが、生活面に深刻な影響を及ぼしている。『多様な働き方』が拡大してきているが、労働者の選択肢自体はあまり多様化しておらず、様々な不安・不満を抱えているのが現状である。

正規従業員においても、依然長時間労働、休暇を取得しにくい労働環境に置かれており、その改善を望む声が大きい。今までの働き方の多様化は人件費の低額化、流動化が目的でなされた非正規従業員としての働き方の多様化と考えられ、正規従業員の働き方の多様化はいまだ限定的である。

今後、正規従業員の働き方の多様化を進めると同時に、非正規から正規への転換制度の充実や非正規の雇用条件、就労環境の改善、社会制度整備などを進め、雇用形態に関わらず、働く者すべてが人生において多様な選択肢を持つことができるようにすべきであろう。

◆報告を受けて、組織パネラーからの感想

◆永井幸子氏
「今次アンケートの調査票作成段階から関わってきたものとしても、たいへん興味深く聞かせていただいた。 090328zaidansinpo039.jpg UIゼンセン同盟としては、1970年に流通部会を設置して以降、パートタイマーの組織化と処遇改善を中心に力を注いできました。結果、1980~93年で、パートタイマー4万人の組織化をおこなっています。昨年9月の段階では、UIゼンセン同盟全体での組織人員が103万人のうち、44%が非正規雇用労働者となっています。
  また、流通の職場では、パートタイマーはいまや基幹労働者になっており、単組の役員レベルでも同様の認識を持つものが多数になっています。
  ただいまのご報告を聞かせていただいた感想としては、一言で言えばこの概要報告の『まとめ』にあります、「雇用形態にかかわらず働く者すべてが人生において多用な選択肢を持つことができるように」ということに尽きると思います。
  ただ、多様な選択肢というのも、それなりの生活が営める水準を超えた以上の労働条件が伴って、働く人が主体的に選べるようなシステムづくりが重要だろうと思います。
  あと、1点反省としては、調査の中で『労働組合の加入状況』というのがあり、非正規雇用の人々に「労働組合に加入したいか?」と訊ねた結果、60%以上の人が「分からない」と答えているとあります。これは労働組合の存在感が薄いというか、もっと分かってもらう努力をしなければいけないと思いました。

◆佐藤幸一氏 090328zaidansinpo046.jpg
「連合兵庫として昨12月19日に『非正規労働センター』を立ち上げたのですが、それに至る約半年の間、関連のデータ収集やら調査に精力を注いできたわけです。国をはじめ行政がこしらえた報告などに目を通して、たいへんハードな半年だったわけですが、いまご報告を拝聴していて目からウロコが落ちる思いがいたしました。やっぱり国やなにかが作った報告をいくら読んでも出てこないようなことが、こうした調査では一目瞭然で出てきている。マクロの傾向だけでなく、職場における具体的な問題に配慮しながら、細かいところにまで目配りしつつ活動を進めていかないといけないと痛感させられました。非正規雇用労働者も正規雇用労働者も合わせて、併行した運動でないと問題は解決できないと感じされられました。」

090328zaidansinpo088.jpg ◆このあと、会場との意見交換・質疑応答にうつり、出席者から「非正規雇用の人々では『結婚したら子どもを持つべきだ』という回答が少ない」という点について、また「臨時職員が産休が取れずに解雇された」「下請け労働における労働者の処遇・雇用問題」等々について活発な質問・意見がだされ、各パネラーが個別に応答するとともに、シンポジウムの締めくくりとして辻芳治:連合兵庫事務局長が『連合兵庫としての状況認識・こんごの活動の方向性』を述べ、非正規雇用労働者・正規雇用労働者が共同して真に多様で豊かな選択が可能な社会システムづくりを進めていくことを呼びかけました。

連合兵庫としての状況認識と活動の方向性

辻  芳治 : 連合兵庫事務局長

◆連合兵庫としては、非正規雇用問題に対しては、労働者の使い捨てを許さず、労働の尊厳をとりもどすことが重要だと認識しています。
◆組織としての対応は、まず非正規雇用労働者の組織化の推進を最優先 090328zaidansinpo095.jpg とし、すべての労働組合が職場・地域での相談活動、仲間づくりに着手し、労働組合結成・加盟の取り組みを強化していくこととしています。どのような雇用形態であれ、働く人自身が処遇改善の交渉の当事者として尊重され、その参画の元に決定されていくためには、組織化は欠かせない条件だと考えます。
◆さらに、均等待遇の法制化や社会保険の全面適用などもめざしています。これらに関する政策制度要求の実現とともに、最低賃金の大幅引き上げに取り組み、経営者に対して法律遵守を強く求めていきます。
◆くわえて、職場での差別を許さず、労働条件底上げや正社員化をすすめるべく力を注いでいきます。不当な差別を許さず、同一労働同一賃金の原則にもとづいた労働条件改善や、正社員化の推進を通じて不公正の是正をすすめていきます。
◆昨今は非正規雇用労働の質的変化がすすみ、これまでの家計補助的な働き方から、業務内容が正社員とほとんど変わらない人、主たる生計の担い手である人、等々が増加し、ワーキングプアという問題につながっています。これらを根本的に解決していくために、組織化推進と同時に、幅広いネットワークを通じ全労働者の視点に立った運動を構築し、世論形成していくことも重要だと認識し、広く社会全体に訴えかけていく活動もすすめていく所存でいます。
◆すべての働く人々が、労働に誇りを持ち、自己の人生を主体的にデザインしていける社会システムづくりへ、みんなの力をあわせて頑張っていきましょう。