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県経営者協会と労使懇談会を開催

雇用確保と賃上げで景気回復のキッカケを

第19回兵庫県労使懇談会で企業使命を求める

◆連合兵庫は2月27日(金)、神戸メリケンパークオリエンタルホテルで、兵庫県経営者協会とのあ 090227rousikon007.jpg いだで第19回労使懇談会をひらきました。◆連合兵庫からは三役・顧問・専従役職員が出席し、森本会長を先頭に現下の経済状況を打開するためには、雇用の安定と賃上げによる内需拡大が喫緊の課題であることを強調しました。◆また、社会問題化している派遣労働者や有期契約労働者の「雇い止め」「派遣切り」の回避について、経協加盟企業への指導を徹底するよう要請しました。◆さらに、雇用安定こそ県民生活安定の根幹であるとの立場から、県経協に対し、『雇用安定・創出に向けた緊急要請』を手渡し、労使の協力で難局を乗り切ることを呼びかけました。

 

◆懇談会は連合兵庫の土肥淳二:事務局長代理の司会で進行し、皮切りに森本洋平:連合兵庫会長があいさつ。連合兵庫と働くものの立場から、雇用安定と賃上げについて企業が社会的使命を果たすよう、強く申し入れました。

 第19回兵庫県労使懇談会あいさつ

連合兵庫会長 森本 洋平

  090227rousikon003.jpg 本日は、時節柄何かとお忙しい中を兵庫県経営者協会、兵庫県、兵庫労働局の皆様には、ご出席いただきまして感謝申し上げます。

  さて、本年も春季生活闘争の季節がやってまいりました。すでに多くの組合は要求書を提出し、本格的な交渉が始まっております。

 連合兵庫も、2月3日に『春闘開始宣言集会』を開催し、09春季生活闘争のスタートを切りました。
 私は集会のあいさつで冒頭に『今年の春は、いつもの春と違って、私たちにとっては大変厳しい真冬の状況下での交渉が予測されるが、厳しければ厳しいほど団結を強化し、マスコミ情報に惑わされることなく、我々の意見を堂々と主張すべきである』と申し上げました。

 この厳しさについては、立場は180°違うと思いますが、経営者の皆様も同じ感覚ではないかと思います。本日はお互いの考え方について忌憚のない意見交換をお願いしたいと思います。
 今回の不況でつくづく感じておりますのは、雇用対策のセーフテイーネットが脆弱であったということを、思い知らされたことです。
 雇用保険の後の中間的なセーフテイーネットがなく、生活保護しかないという実態を見せられたように思います。

 マスコミは、企業の雇用対策についてさまざまな批判 090227rousikon005.jpg をされていますが、実態として、雇用対策が企業まかせになっていたのではないかと思います。
 中長期的には、労働法制の見直しが必要と感じていますが、目の前の対策について『雇調金制度』の有効活用などを含め、打てる対策を早期に実施すべきだと思います。
 今回の春闘で連合が申し上げたいのは、今回の世界同時不況で、経営者の方々の経営感覚がシュリンクしてしまい、雇用を減らし、人件費コストを削減するだけで乗り切ろうとする、ミクロの感覚に埋没してしまわないかということです。

 私たちは、企業が社会の公器として、今こそ責任を果たすべきだと思っています。
 そして、外需依存型の経済運営から内需拡大による景気対策を目指したい。
 もちろん、賃上げだけで全面的な内需拡大の効果があがるとは言えませんが、内需拡大の下支えにつながると考えています。
 『賃上げが最大の景気対策』だと考え、今年の春闘交渉に臨んでいるわけです。

 経営者の皆様方に経営方針をお聞きしますと、ほとんどの方は『企業価値を高める経営を目指したい』と答えられます。
 そうであるならば、株主だけでなく、社員や社会や国内経済に対する責任も果たしてほしいと思います。
 日本型経営の良さである、『社員』をもっと大切にしていただきたいと思います。

 国内経済に目を向けることなく、『負のスパイラル』に埋没するのではなく、今こそ勇気を持って、私たちの思いに応え、労使の協力で内需を拡大し、景気回復による企業発展を目指す『持続可能な好循環型社会』を創るべきだと考えます。
 繰り返しになりますが、外需だけではなく、内需を拡大し国内経済のバランスをとるためにも、『雇用か賃金か』というミクロの論理ではなく、日本経済の復活に向けて新たな展望を拓くことが、今年の春闘に求められていると思います。

 これは、企業経営を全く無視するものではありません。
今年の春闘では、結果とは関係なく、日本経済の方向性について労使が真剣に論議していただけるよう、また、会社の状況についてしっかりと労使で認識できるようにお願い申し上げます。
 あくまでも、『危機感の共有』をするのであって、いたずらに『不安感の共有』にならないよう、しっかりとした交渉を期待しております。

 最後になりましたが、現下の経済・雇用状況にかんがみて、是非とも、雇用対策について、のちほど企業経営者の皆様方にご要請申し上げたいことがございます。どうかよろしくご対応と努力をお願い申し上げます。

 今回の経済・雇用状況は極めて深刻な状況であると認識しておりますが、過去の大不況時にも政・労・使が力を合わせて乗り切った歴史がございます。過去の歴史を教訓に、乗り越えていきたいと思っております。

 これからも、諸先輩の築いてこられた、兵庫県の良き『政・労・使』の関係を大切にして、企業の発展と労働者の生活の向上、そして安心・安全な地域社会づくりを目指していきたいと思っておりますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

◆つづいて、兵庫県経営者協会の池田志朗:会長があいさつにたち、おおよそ次のように述べました。 090227rousikon014.jpg
「19回目の労組懇談会となるが、今回がもっとも厳しい状況下での開催となった。各企業の業績悪化は著しく、今後の見通しも1~2ヶ月前のものでさえ手直ししなければならないような、不況の進行のスピードと底が見えないことで、経営環境はいっそう厳しさを増している。雇用の過剰感も昨10月には不足していたものが、現状では大幅な過剰となっている。雇用を守ることは企業の社会的使命であり、労使の信頼感の基礎となるものだ。賃上げは考えられない状況だが、雇用を守るため最大限の努力をしていきたい。いままでも危機はあったが今回は比較にならない厳しさだ。いままでにない知恵を出し合って難局を乗り切っていきたい」

<  議    題  >

【 2009春季労使交渉について 】 

◆そのあと『議題』にうつり、まず労使双方から『2009年春季労使交渉について』の取り組み方針 090227rousikon021.jpg の説明をおこない、連合兵庫からは辻芳治:事務局長が『連合白書』をベースにした情勢認識と、連合兵庫の取り組み方針を説明。
「企業が在庫調整と同様の感覚で雇用調整をおこなうようなことが許されてよいのか。労働者は物とは違う。また、納得感をもって働き、生産性を高めるためには、労働条件の確保が重要で、同時に賃上げこそが最大の景気回復であるとの考えにもとづいた要求である」と基本姿勢を述べました。
◆また、経協側は、住友ゴム工業(株)の恩賀賢治:執行役員と、(株)村元工作所の村元四郎:取締役が自社の状況を中心に、今期労使交渉に臨む基本的姿勢を説明しました。
◆それに対し連合兵庫から、村上昇:会長代理(UIゼンセン同盟兵庫県支部長)と、宮内博文:副会長(JAM山陽兵庫連絡会会長)とが、主に中小労働運動の立場から、雇用安定と賃上げの必要性を強調しました。
◆双方の取り組み方針の説明が終わったあと、森本:連合兵庫会長から池田:県経営者協会会長へ『雇用の安定・創出に向けた緊急要請』を手渡し、雇用安定にむけの一層の企業努力を要請しました。

雇用の安定・創出に向けた緊急要請

1.世界同時不況の様相を呈する中で、わが国の経済・雇用情勢は過去
  に例のないスピードで深刻化し、雇用不安・先行き不透明感が拡が 090227rousikon033.jpg
  ています。
  
昨年来、派遣を含む非正規労働者の契約打ち切りや雇い止め、採用
  内定取り消しが頻発し、正規労働者にも影響が出始めています。
  政府・地方行政における、実効性ある景気回復策と併せて、強力かつ
  的確な政策運営ならびに予算措置による雇用の安定・創出策を速やか
  に講ずることが喫緊の課題となっています。

2.わが兵庫県は、雇用問題に関して、兵庫県・兵庫労働局・兵庫県経営
  者協会・連合兵庫の四者が共同した取り組みを、全国に先駆けて展開
  してきた歴史があります。言うまでもなく「雇用」を守ることは県民生活
  安定の根幹であり、今こそ、法令遵守はもとより、政・労・使それぞれの
  立場で「雇用の安定・創出」に向けた取り組みを強化しなくてはなりま
  せん。

3.連合兵庫は、こうした重大な問題意識のもと、貴協会に対して、県下各
  地域の経営者団体とも連携し、各会員企業へ以下の事項の指導・徹
  底を図られますよう要請するものです。

(1)派遣労働者の契約打ち切りや有期契約労働者の雇い止めは、「派遣
  元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針」に基づき慎重に対
  処頂き、安易な「雇い止め」「派遣切り」は回避されるよう徹底頂きたい
  こと。

(2)新たな採用が見込まれる会員企業において、中途採用を前倒しするな
  ど「派遣切り」された労働者等の雇用の拡大に最大限努めて頂きたい
  こと。

(3)新たな採用情報については早急にハローワークに提供を頂きたいこ
  と。

4.これまで兵庫の労使は、阪神・淡路大震災をはじめ幾多の大きな危機
  を英知と努力で乗り越えてきました。未曾有の危機的状況にある今こ
  そ、これまで培ってきた信頼関係のもと、雇用の安定と内需主導による
  景気回復に向けて、縮小均衡に陥ることのない前向きかつ建設的な対
  応で、社会の公器としての役割と責任を、これまで以上に積極的に果
  たされますよう強く要請するものです。

以  上

【 報告事項 】 

◆連合兵庫の森脇久夫:副事務局長が「三者合意の進捗状況(ワークライフバランスほか)」 について報告したほか、県経営者協会の山川四郎:労働政策部長が「労使共同研究(外国人労働問題調査)について」、進捗状況を報告、兵庫労使相談センターの好城秀行:代表が「兵庫労使相談センターの活動状況」について報告し、それぞれ了承されました。

【 協議事項 】

◆「平成21年度労使研究事業および兵庫県労使海外労働事情調査について」、県経営者協会の熊谷昌之:専務理事から、「来年度の共同研究事業テーマは、当初は『外国人労働の海外諸国の事例研究』を予定していたが、現下の経済状況で緊急課題として雇用問題が急浮上してきた。そのため、平成21年度は①『外国人労働問題について』国内調査を継続するとともに、②『海外調査』については、雇用問題の研究との兼ね合いも含めて、森本・池田両会長に判断をゆだね、6月中をメドに結論をだしていきたい」と説明、了承を得ました。

(なお、労使懇談会には兵庫県からも中村稔:産業労働部長以下が出席し、経済・雇用対策事業の推進等について説明しました)

090227rousikon048.jpg <  懇  親  会  >  090227rousikon051.jpg

◆懇親会では、井戸敏三:兵庫県知事、八田雅弘:兵庫労働局長が出席、それぞれ「政・労・使が信頼と協働で困難を乗り切ってきた兵庫県のよき伝統を活かし、現下の不況を克服しそれぞれが社会的責任を果たしていこう」とあいさつを述べ、同時に行政としてもフルパワーで対策しつつあることを報告しました。

(以上)