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経済・雇用で兵庫県に緊急要請

兵庫県に対して経済・雇用緊急要請おこなう

◆連合兵庫は12月15日(月)、辻:事務局長をはじめ専従役職員4名が兵庫県庁へ出向き、逼迫 081215taikenseisakuyousei001.jpg の度が増す一方の経済・雇用情勢について、「政策運営および予算編成等に関する要請書」として緊急要請をおこないました。兵庫県側は、中村:産業労働部長ほかが対応しました。

◆これは、連合本部が世界同時金融危機における経済情勢と厳しい雇用情勢を踏まえて、第14回中央執行委員会で、連合の緊急対応についての取り組みを確認したことを受けて、連合兵庫としても、必要な対応を行うことを12月4日開催の第16回三役会議で確認した行動です。

◆なお、11月26日の2009年度対県要請時にも必要な意見提言をおこっていますが、情勢に鑑み緊急要請として申し入れしたものです。

 2008年12月15日

兵 庫 県 知 事
井  戸   敏  三 様

日本労働組合総連合会兵庫県連合会
会 長  森 本 洋 平

 政策運営および予算編成等に関する要請書

  米国に端を発した世界的な金融危機は、実体経済に影響を及ぼし、世界同時不況の様相を呈するなど、1930年代の世界恐慌以来最も深刻な経済状況陥っています。ワシントンで開催されたG20金融サミッ 081215taikenseisakuyousei002.jpg トでは、金融・経済対策の国際協調について合意がなされましたが、その成否は、今後、各国が、いかに迅速かつ適切な施策を実施するかにかかっています。
  日本国内では、急激な円高と株安のもと、世界的な景気後退等による外需の減少、物価の高止まりと家計の改善の遅れによる内需と地域経済の低迷、さらに雇用情勢も厳しさを増しています。とりわけ非正規労働者、外国人労働者等の契約打ち切りや雇い止め、新卒者の内定取り消しが頻発するなど深刻な雇用問題が生じており、中央、地方の行政において、強力かつ的確な政策運営ならびに予算措置による雇用対策をはじめとした緊急的な政策対応が喫緊の課題です。
  私たち連合は、今回の危機は、市場原理主義の限界を示すものであり、「効率と競争最優先」の価値観から「公正と連帯」を重んじる社会へのパラダイム・シフトが必要と考えています。そして、そのためには、中央、地方の行政が緊密な連携をはかり、適切な経済対策、金融対策、新たな雇用創出対策、国民の将来不安を解消するため社会保障の機能強化が不可欠であります。
  つきましては、貴職におかれましては、以下の内容を当面の政策運営および予算措置に十分反映するとともに、政府に対して強く要求されることを要請いたします。

1.緊急雇用・生活対策の強化

緊急的な雇用対策の強化に向け、地方自治体として以下の事項に十分配慮した施策を行うとともに、政府に必要な施策の実現を求めること。
(1) 派遣労働者、有期契約労働者、高年齢労働者の解雇・雇い止めに対する雇用対策を行うこと。また、県の労働関係担当部局に雇用・労働に関する相談窓口を設置し、積極的に対応すること。
(2) 解雇・雇い止めに伴うフリーターや派遣労働者等の住宅困窮者に対する住宅支援対策を講じること。
(3) 大学生等学生の採用内定取り消しに対する対策を行うこと。
(4) 長期失業者、フリーター、母子家庭の母等の訓練機会に恵まれない者に対する職業訓練を充実し良質な雇用機会を提供すること。また、雇用・能力開発機構の機能は存続させ、全国あまねく公平な能力開発が実施できる体制を堅持するとともに、県が主管する職業能力開発校における体制を強化すること。
(5)外国人労働者の雇止めなど雇用・労働に関わる相談窓口をハローワークや総合労働相談コーナーに開設し、通訳を配置するとともに、母国語によるリーフレットを出入国管理局や市町村の窓口等を通じて周知すること。
(6) 雇用保険の給付改善と適用範囲の見直しを行うこと。また、国庫負担を堅持するとともに、雇用保険料率および雇用保険二事業の料率引き下げは当面は行わないこと。
(7)現在政府で検討されている2兆円「生活支援定額給付金」は、中低所得層等への物価上昇分の補填に限定すること。また、緊急対策として、医療、介護、雇用対策など社会的セーフティネットの機能強化に重点的な財政措置を行うこと。

2.経済・金融対策の強化

(1)金融機関の貸し渋り対策(信用収縮対策)
地方における中小・地場企業への信用収縮対策をすすめるとともに、政府につぎの政策を求めること。
① 中小・地場企業に対する政府系金融機関への資金供給を拡充すること。
 ② 信用保証制度の抜本的拡充と適正な制度運営をはかること。
 ③ 金融検査マニュアル(中小企業融資編)の趣旨・内容を周知徹底し、画一的・一律的な検査を行わないこと。
(2)雇用創出、消費回復、地域経済の再生など内需の拡大につながる政策運営を行うこと。
① 福祉型社会において不可欠なサービス部門を中心に、政府、自治体の予算を増額し、公共的セクターでの雇用拡充をはかること。
② 福祉、教育、環境、防災等国民の暮らしに直結した歳出項目への予算措置の重点化をはかること。
③ 中小・地場企業支援のため、公取引においては一定の水準を維持・確保するとともに、公正取引維持の観点から監視を強化すること。
④ ものづくり産業における技術・技能労働者確保等への支援措置を拡充すること。
⑤ 食料自給率向上に向け、農林水産業の振興をはかること。
⑥ 地域経済の回復・再生に向け、「地域力再生機構法案」の早期成立を求めること。
(3)物価安定対策として、つぎの取り組みを実施すること。
① 燃料費を軽減するため、揮発油税等の暫定税率を凍結・廃止するよう政府に求めること。
② 寒冷地における「福祉灯油制度」を整備徹底すること。
(4) 所得税制度改革として、政府につぎの政策を求めること。
① 物価上昇分に相当する家計支援策として、中低所得者層を中心に所得税減税を実施するとともに、生活困窮世帯に対する補助金制度を創設すること。加えて、低所得者層に対する「負の所得税」(給付つき税額控除)の制度創設について検討すること。
② 所得税の累進性や資産課税を強化し、税の所得再分配機能を高めること。

3.国民の安心感を高めるための社会保障の機能強化等

(1) 地方自治体を中心につぎの政策を推進するとともに、政府への支援を求めること。
① 生活保護の申請受付等の改善をはかり、現行の生活保護水準を維持すること。
② 産科・小児科、救急医療等の医師不足対策、地域医療のネットワーク等の体制整備を早急にはかること。
③ 住宅困窮者に対し、公営住宅、民間賃貸住宅等への入居支援(就労・生活相談センターの活用等による公的な保証人制度の創設等)、住宅入居資金の低利貸付け制度を拡充する(社会福祉協議会の生活福祉資金の活用等)こと。
④ 待機児童の解消など保育サービスの拡充、児童手当等の拡充など子育て支援を抜本的に拡充すること。
(2) 医療・介護・福祉・年金等の社会保障機能を強化するため、政府につぎの政策を求めるとともに、地方自治体として必要な対応をはかること。
① 毎年度2200億円を圧縮する社会保障費抑制策を撤回すること。
② 年金記録問題を早期に解決し、基礎年金の国庫負担引き上げ、「最低保障年金」創設、全雇用労働者への厚生年金適用など、安心と信頼の年金制度を構築すること。
③ 介護労働者の賃金改善、人材確保に向け、2009年度の介護報酬を引き上げること。
④ 後期高齢者医療制度と前期高齢者の制度間財政調整を廃止し、地域保険と被用者保険の自立性を確保する「突き抜け方式」型の医療保険制度を構築すること。
⑤ 公的職業訓練等と社会保障政策との連携、社会保険・労働保険の機能強化(第1層)、長期失業者等への「就労・生活支援給付」制度の創設(第2層)、住宅扶助の社会手当化など生活保護制度の抜本改革(第3層)等、三層構造による新たな生活保障制度を構築すること。

 以 上