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豊かな人生を送るために『仕事と生活』のバランスを
ひょうご『仕事と生活』バランス推進フォーラムひらく
◆10月22日(水)、兵庫県公館大ホールで「ひょうご『仕事と生活』バランス推進フォーラム」をひらきました。
◆フォーラムは、連合兵庫・兵庫県経営者協会・兵庫県・兵庫労働局・内閣府・男女共同参画推進連携会議・ひょうご男女共同参画推進連携会議が主催、兵庫県ILO協会が後援して開催。県内の個別企業労使をはじめ関係者ら約300人があつまり、講師やパネラーの話に熱心に耳を傾けました。
◆フォーラムは幕開けに井戸:知事があいさつに立ちました。「子育てをどうするか、あるいは生き甲斐は?
仕事と生活のバランスが重要だ。西洋では仕事は手段ととらえられる傾向があるが、日本では目的化しがちで、ともすれば仕事偏重になってしまう。人々がイキイキと生活していけるには、どういう社会にしていけば良いのか?そういうことをテーマに、今日を含めて4回のフォーラムを開催していこうということにしています。10月は本日の「雇用対策」、11月は「家庭対策」、12月は「少子対策」、明年2月は「男女共同参画」というjことで、自分たちの生活と働き方をどうしていくかということが各回の共通テーマになっています。連合兵庫・県経営者協会・兵庫県の3者が平成11年に雇用確保をテーマに協定をむすんでから、ことしで10年になります。この兵庫らしい行政・労働・経営の連携スタイルが新しい時代をつくる上で、どう役立っていけるか。われわれが能動的に時代にマッチしたライフスタイルをつくっていかないとけない」
◆次に来賓出席されていた、掛水すみえ:県会議員と小池ひろのり:県会議員を紹介、そのあと基調講演にうつり、「男女が生き生きと活躍する社会を目指して~男女共同参画とワーク・ライフ・バランス~」と題して内閣府男女共同参画局の坂東久美子:局長が後援を受けました。
◆つづいてパネルディスカッションに入り、次のメンバーで「『仕事と生活』バランス推進」をテーマに意見交換をおこないました。
・コーディネーター
開本浩矢 (兵庫県立大学経営学部教授)
・パネラー
渥美由喜 ((株)富士通総研主任研究員)
西河紀夫 (三ツ星ベルト(株)会長)
森本洋平 (連合兵庫会長)
池田志朗 (兵庫県経営者協会会長)
井戸敏三 (兵庫県知事)
八田雅弘 (兵庫労働局長)
ひょうご「仕事と生活」バランス推進フォーラム
森本洋平:連合兵庫会長 発言要旨
1.仕事と生活のバランス推進の意義と課題
ワークライフバランスの推進は、労働組合としても非常に重要な問題であ
ると認識しています。
最近の連合兵庫の懇談会やアンケートの内容を見てますと、以前に比べてサービス残業の問題は随分改善されてきたようですが、長時間労働の実態は改善されていないように思います。早く帰って家庭での団欒やコミュニケーションの充実とか、あるいは独身の方は自分の生活をエンジョイするとかすれば、と思いますが、あまり出来ていないようです。
また、長時間労働による過重労働の実態もあり、そういったことが、心の病をかかえる労働者の増加といった現象につながる一因になっているのではと心配しています。
少し前に厚生労働省から、月45時間以上の時間外労働は心身への影響が大きいことから、適正な管理に務めるよう指導がありましたが、なかなか適正管理にはなっていないようです。
しかし、これを企業の労務管理の問題とだけしていては、根本的な解決にならないと思っていまして、労働者は与えられた業務に対する責任感からどうしても無理をしてしまう傾向があるのではないかと感じています。
したがって、こういった問題の解決には上司からの指導に加えて、職場内での闊達なコミュニケーションとかチームワークといいますか、助け合えるような環境づくりが必要だと感じています。業務の細分化、マニュアル化といったことも重要ですが、業務遂行の弾力性とか応用みたいな機能が大切なのではないかと思います。
二つ目は、やはり非正規雇用の問題があると思います、多様な働き方の必要性は否定しませんが、あまりにも劣悪な労働条件で働く、いわゆる「ワーキングプア」と呼ばれる層が若年層で増加していると思います。このことが、少子化が進みつつある情況の中で、結婚適齢期において経済的理由から結婚が出来なかったり、結婚しても共働きを余儀なくされ、子供を生み育てる余裕がなかったりしているのではないかと危惧いたします。「仕事と生活」のバランスに程遠い感じがしています。
要は労使共通の課題として相互の意識改革を初めとして、まずは職場の雰囲気作りや環境づくりを進めることだと思います。
連合としては、仕事は仕事として大切にするものの、個人・家庭・地域での時間を確保し、「豊かな人生を送る」ために、「仕事と生活」のバランスは重要な課題であるとの認識で取り組みを進めていこうと思っています。
ジェンダーフリーの考え方も含め、育児休業制度の積極的な運用や、地域社会で生活をサポートできる仕組みづくりなど、企業と労働者の双方がウィン・ウィンの関係になるよう取り組むことが大切であると思います。そして、そのウィン・ウィンの関係が出来上がったときに、労働者は地域活動やボランテイア活動などにも参加が可能となるはずですから、幅の広がった個人生活が地域の活性化にも繋がるはずで、そういった面も考慮されて行政からのサポートをお願いしたいとも考えます。
2.推進上の課題の解決策と支援のあり方
一つは制度面の問題があると思います。
ただ、法案整備との関係でどこまで兵庫県で取り組めるかといった問題は残りますが、やはり非正規労働の問題は避けて通れない課題だと思います。
先ほども申し上げましたが、多様な働き方を否定はしませんが、「同一労働・同一賃金」の原則からして待遇格差があるのは大きな問題だと思いますし、もっと重要なことは、非正規雇用から抜け出したいときに、抜け出せる制度や仕組みづくりが必要ではないか、それが安定雇用の確保になればと思います。
一方で長時間労働の解消問題があると思われます。これは労使の努力に加えて、当局の労働時間管理の啓発や指導をお願いすると共に、法違反事業者への適正な行政指導をお願いしたい。
子育て支援の推進や充実といった観点から、保育園や学童保育などの充実と地域ぐるみで子育て支援ができるサポート体制の構築も必要です。
同時にジェンダーフリーの考え方で、男性の家事や子育てへの参加推進を図るため、特に男性の意識改革と、企業の意識改革と環境整備が必要だと思います。
二つ目は、労働者への働きかけとサポートです。
先ほども申し上げましたが、労働者自身の意識改革なくして「仕事と生活」のバランス推進は出来ないと思いますので、政労使による啓発が必要と思います。同時に、仕事・家庭・地域における役割や生きがい作りみたいな取り組みが必要ではないかと思います、多様な生きがい作りの提供システムなど検討してみてはいかがでしょうか。
また、労使で行っている労働相談や、家庭生活支援などのワンストップサービスなど、有効な手段として充実すべきではないだろうかと考えます。
加えて、大学・研究機関などとの連携で、子育てや悩みの相談など、地域で支えあえるような、仕組みづくりの研究や実践を充実していただければと思います。
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◆フォーラムの幕を閉じるにあたって、同日午前中に4者署名した「『仕事と生活のバランス』ひょうご宣言」を発表しました。森本:連合兵庫会長が4者を代表して署名にいたる経過を報告し、つづいて係りが共同宣言文を読み上げて発表しました。(なお、宣言文は既報のとおりですので、前信のNEWSをご参照下さい)
◆森本:連合兵庫会長
「雇用対策三者会議では、平成18年3月の三者合意に基づき、政労使が一体となって様々な取り組みを展開してきました。今回は、それを更に発展させ、兵庫労働局とも一緒になって「仕事と生活のバランス」を一層進めていく決意を込めまして、先ほどの会議において四者で「仕事と生活のバランスひょうご宣言」を採択いたしました。その宣言の内容について、この場で皆様方にご披露したいと思いますので、宜しくお願い申し上げます」